ホームページの制作を始めると、発注者の側で用意していただくものの中で、いちばん手間がかかるのが画像です。「イメージに合う写真がネットにあったので、これを使ってください」「AIで作ったイラストなら自由に使えますよね」——制作の打ち合わせで、こうしたご相談をよく受けます。
画像は文章と違って、どこから来たのかが見た目では分かりません。そのため、出所を確かめないまま公開され、数年たってから権利者から連絡が来る、ということが起こります。そのとき責任を問われるのは、多くの場合、画像を選んだ人ではなくサイトを公開している会社です。
この記事では、ホームページに載せる写真・イラスト・AI生成画像について、使ってよいかどうかの見分け方と、トラブルを避けるための手順を、制作側の実務から整理します。法律の最終的な判断は個別の事情で変わるため、迷うケースでは弁護士などの専門家への相談をおすすめします。
画像の安全性は、見た目ではなく「出所」と「利用条件」が説明できるかどうかで決まります。検索結果やSNSで見つけた画像は、権利者の許可が確認できない限り使わないのが原則です。フリー素材でも商用利用・クレジット表記・加工・禁止用途の条件を規約で確かめ、人物が写る写真は本人の同意を残してください。AI生成画像は「自由に使える」と決めつけず、既存の作品に似ていないかを確認します。そして、どの画像をどこから入手したかを一覧にして制作会社へ渡しておくと、公開後に指摘を受けたときも落ち着いて対応できます。
「ネットで拾った画像」が危ない理由
公開されていることと、使ってよいことは別
インターネット上の写真やイラストの多くは、誰かが撮影・制作したもので、原則として著作権があります。画像検索で表示される、SNSに投稿されている、他社のサイトに載っている——これらはどれも「見られる状態にある」というだけで、「誰でも使ってよい」という意味ではありません。
ホームページへの掲載は、画像を複製してインターネットで送信できる状態にする行為です。権利者の許可なく行えば、著作権の侵害を問われる可能性があります。営利目的かどうか、ページの片隅に小さく載せただけかどうかは、許可が要らない理由にはなりません。
「出典を書けば大丈夫」ではない
よくある誤解に、「出典やリンクを書いておけば使ってよい」というものがあります。著作権法には「引用」として許可なく使える条件がありますが、公表された著作物を、公正な慣行に合い、引用の目的上正当な範囲で使う場合に限られ、原則として出所の明示も必要です。実際には、自分の文章が主で引用部分が従であることや、引用部分がはっきり区別されていることなども踏まえて判断されます。ページの雰囲気づくりのためにトップに大きく置く写真は、引用の形にはなりにくいのが実情です。
時間がたってから問題になる
画像の権利トラブルが厄介なのは、公開した直後ではなく、何年もたってから表面化することが多い点です。その頃には、誰がどこからその画像を持ってきたのかを覚えている人がいません。「制作会社が用意したものだと思っていた」「前の担当者が入れた」となり、出所を確かめる手段がなくなります。

使ってよい画像の入手先は4つに分かれる
ホームページで使う画像は、入手先で考えると次の4つに整理できます。どれを選ぶかで、確認すべきことが変わります。
| 入手先 | 主な例 | 確認すること |
|---|---|---|
| 自社で撮影・制作 | 店舗・商品・スタッフの写真 | 写っている人の同意、撮影者が誰か |
| 撮影や制作を外部に依頼 | カメラマン・イラストレーター | 契約で決めた利用範囲 |
| 素材サイト(無料・有料) | 写真素材・イラスト素材 | 利用規約・ライセンスの条件 |
| AIで生成 | 画像生成サービスで作った画像 | サービスの規約、既存作品との類似 |
この中で、最も出所がはっきりするのは自社で撮影した写真です。店舗の外観や作業の様子、実際のスタッフの写真は、権利の面で安心なだけでなく、閲覧者に「実在する会社」であることを伝える効果もあります。撮影のコツは「HPの写真撮影ガイド」で、スマホでの撮り方から業種別の撮影リストまでまとめています。
フリー素材は「規約のどこを読むか」で決まる
「無料」と「自由に使える」は違う
フリー素材サイトの画像は、無料でダウンロードできても、使い方には条件があります。条件はサイトごと、場合によっては素材ごとに違い、規約が改定されることもあります。「前に使ったサイトだから大丈夫」ではなく、ダウンロードするたびに、その時点の規約を確認するのが基本です。
規約で確かめる5つの項目
素材サイトの「利用規約」「ライセンス」「よくある質問」のページで、次の5点を確かめてください。
- 商用利用:会社のホームページや広告での利用が認められているか。個人利用に限っている素材もあります
- クレジット表記:作者名やサイト名の表記が必要か。必要なら、どこにどう書くか
- 加工の可否:トリミング・色の調整・文字の重ね・合成が認められているか
- 禁止されている用途:ロゴや商標としての利用、素材そのものを販売する用途、特定の業種や表現での利用など
- 人物素材の制限:モデルが写る写真で、誤解を招く使い方(実在の社員や利用者のように見せる等)を禁じていないか
特に見落とされやすいのが最後の項目です。素材写真の人物を「当社スタッフ」「お客様の声」の横に置くと、規約違反になる場合があるだけでなく、閲覧者を誤解させる表示にもなりかねません。
ダウンロードした証拠を残す
規約は後から変わることがあります。素材を使うときは、ダウンロードした日付・素材のページのURL・そのときの規約のURLを控えておくと、あとで条件を確認されたときに説明できます。有料素材なら、購入履歴やライセンス証書も保存しておきます。

人が写る写真は、著作権とは別に「肖像権」を考える
撮影した人の権利と、写っている人の権利
写真には、撮影した人の著作権とは別に、写っている人の権利があります。一般に「肖像権」と呼ばれるもので、法律の条文で定められているのではなく、裁判例を通じて認められてきた考え方です。本人の許可なく、本人だと分かる形で写真を公開すると、問題になる可能性があります。
自社で撮った写真でも、お客様や通行人がはっきり写り込んでいる場合は注意が必要です。店内のイベントの様子や施術の場面などを載せるときは、写っている方に掲載の了承を得るか、本人と分からない写し方・加工にします。
スタッフ写真は「同意の範囲」と「退職後」を決めておく
スタッフの写真は、採用ページや会社紹介で効果が大きい一方、トラブルも起きやすい素材です。社員だからといって、写真の掲載に当然同意しているとは限りません。
当社では、スタッフ写真を掲載する前に次の点を書面やメールで残しておくことをおすすめしています。
- どのページ・どの媒体(ホームページ、SNS、印刷物など)に載せるか
- 名前や役職を併記するか
- 退職したときに写真をどう扱うか(削除する、集合写真は残す等)
特に退職後の扱いは、決めていないと揉めやすいところです。退職した方から削除を求められたとき、すぐに対応できるよう、どのページに写真があるかも把握しておきます。採用ページの作り方は「採用ページの作り方」でも触れています。
外部のカメラマンに依頼した写真
カメラマンに撮影を依頼した場合、契約で取り決めない限り、写真の著作権は撮影者に残るのが一般的とされています。代金を払ったから自由に使える、とは限りません。ホームページだけでなく、チラシや広告、SNSにも使う予定があるなら、利用できる範囲を発注の段階で書面にしておくことが大切です。将来、制作会社を替えたときにも同じ写真を使い続けられるかどうかも、確認しておくと安心です。
AI生成画像の扱い——「自由に使える」と決めつけない
文化庁の「考え方」が示している整理
画像生成AIで作った画像を、ホームページに使いたいというご相談も増えています。AIと著作権の関係については、文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会が2024年に「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめています。
この資料では、AIの開発・学習の段階と、AIで画像などを生成・利用する段階を分けて考え方を整理しています。ホームページに載せるのは後者にあたり、生成した画像の利用が既存の作品の著作権を侵害するかどうかは、通常の著作権侵害と同じく、既存の作品との類似性と、既存の作品を元にしたといえるか(依拠性)で判断される、という方向が示されています。
また、AIが生成したものがそもそも著作物にあたるかどうかについては、人が創作的に関わった程度などによって個別に判断されるという整理がされています。つまり、「AIで作ったから誰の権利にも触れない」とも、「自分で作ったから自社の著作物として守られる」とも、一律には言えないということです。
なお、この資料は法的な拘束力を持つものではなく、今後の裁判例や議論によって考え方が変わる可能性があります。具体的な判断が必要な場合は、最新の資料を確認したうえで専門家に相談してください。
ホームページで使うときの実務上の注意
法的な結論を待つまでもなく、実務で気をつけられることがあります。
- 特定の作家名・作品名・キャラクター名を指示に入れない:既存の作品に似せる指示は、類似性の問題を招きやすくなります
- 生成した画像を、既存の作品と見比べる:有名なキャラクターやロゴ、特定の写真に似ていないかを確認します
- サービスの利用規約を読む:商用利用の可否や、生成物の扱いはサービスや料金プランによって異なります
- 実在の人物・実在の店舗のように見せない:AIで作った人物を「当社スタッフ」として載せると、閲覧者を誤解させます
- 使ったサービス・日付・指示文を記録する:あとで出所を説明できるようにしておきます
AIで作ったホームページ全体で起こりがちな問題は「AIで作ったホームページでよく起きる5つの問題」で、社内でAIを使うときのルールの決め方は「社内のAI利用ルールの決め方」で整理しています。

制作会社に画像を渡すときは「出所の台帳」を添える
台帳があると、公開後の対応が変わる
画像をまとめて制作会社に渡すとき、ファイルだけを送るのではなく、出所を一覧にした台帳を添えることをおすすめします。表計算ソフトの1枚のシートで十分です。
台帳があれば、制作会社は利用条件に合わない使い方(禁止されている加工、クレジットの付け忘れなど)を避けられます。そして公開から何年たっても、どの画像をどこから入手したかを社内で確認できます。
台帳の項目例
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| ファイル名 | top-main.jpg |
| 掲載予定のページ | トップページのメイン画像 |
| 入手先の区分 | 自社撮影/外部依頼/素材サイト/AI生成 |
| 撮影者・作者・サイト名 | 自社スタッフ、〇〇写真事務所、素材サイト名など |
| 入手元のURL | 素材ページのURL、生成サービス名 |
| 入手日 | 2026-10-01 |
| 利用条件 | 商用可・クレジット不要・加工可 など |
| 写っている人の同意 | 同意書あり/写り込みなし |
| 備考 | 退職時は削除、トリミング可 など |
当社でホームページを制作する際も、お客様から画像を受け取るときに出所を確認しています。出所が分からない画像があれば、公開前にご相談し、自社撮影や素材への差し替えをご提案します。
契約書でも確認しておく
制作会社が用意した画像(素材サイトの購入素材やイラストなど)を使う場合は、その画像を公開後も使い続けられるか、制作会社との契約が終わったあとはどうなるかも確認しておきます。契約書で見ておくべき箇所は「ホームページ制作の契約書で必ず見る7か所」でまとめています。
権利者から指摘を受けたときの初動
まず確認すること
万一、「この画像は当方の著作物です」といった連絡を受けたら、慌てて支払いや反論をする前に、次の順で確認します。
- 連絡の内容を保存する:メールや書面、問い合わせフォームの内容をそのまま残します
- 対象の画像を特定する:どのページのどの画像についての指摘かを確かめます
- 台帳で出所を確認する:入手先・ダウンロード日・利用条件の記録を探します
- 相手が本当に権利者かを確かめる:連絡の中に権利を示す情報があるか、連絡先が実在するかを確認します。画像の権利を名乗って支払いを求める連絡には、内容をよく確かめる必要があるものもあります
掲載を止めるかどうか
自社に正当な利用の根拠がないと分かった場合は、まずその画像を非公開にするか差し替えて、被害の拡大を防ぎます。ただし、削除したことが相手の主張をすべて認めたと受け取られないよう、やり取りの文面には注意が必要です。
支払いを求められている場合や、相手の主張に納得できない場合は、自社だけで結論を出さず、弁護士などの専門家に相談してください。台帳や同意書などの記録がそろっていれば、相談の時間も短く済みます。

まとめ——画像は「選ぶとき」に記録する
ホームページの画像トラブルの多くは、画像を選んだ時点で出所と条件を残しておけば防げたものです。最後に要点をまとめます。
- 検索やSNSで見つけた画像は、権利者の許可が確認できない限り使わない
- フリー素材は、商用利用・クレジット・加工・禁止用途・人物素材の5点を規約で確認する
- 人が写る写真は、写っている人の同意を残す。スタッフ写真は退職後の扱いも決めておく
- 外部に撮影を依頼した写真は、利用範囲を発注時に書面にする
- AI生成画像は「自由に使える」と決めつけず、既存作品との類似とサービスの規約を確認する
- 画像の出所を台帳にまとめ、制作会社へファイルと一緒に渡す
- 指摘を受けたら記録を保存し、出所を確認し、必要なら専門家に相談する
当社のホームページ制作では、画像の準備についても、撮影するもの・素材で補うものの切り分けから一緒に検討しています。手元の画像が使えるかどうか判断に迷うものがあれば、制作のご相談の際にお知らせください。
