見積依頼に「予約機能がほしい」と書くと、作る側では電話番号のボタンから、空き枠を選んで確定する仕組みまで、何通りにも読めます。読み方が違えば作業の量も違うため、各社が別々のものを見積もるか、返事の前に確認の質問が届きます。
この記事では、依頼文によく出る7つの言葉の言い換え表と、それを入れた新規制作・リニューアルのメール例文を先に載せます。そのあとで、作る側が実際に確認した実例と、決まっていないことの書き方を補足します。
「予約機能」「SNS連携」「自分で更新」「ページ数」「ブログ」「お問い合わせフォーム」「既存サイトからの移行」は、作る側で2通り以上に読まれる言葉です。書くときは、対象・担当・数量や頻度を、該当する範囲で補います。たとえば「予約機能」は「体験レッスンの予約を、お客様が空き枠カレンダーから選んで確定する。空き枠はスタッフが入れる」のように書きます。決まっていないことは「未定」「相談したい」とはっきり書き、決まっている部分とは分けて伝えます。
この書き方で減らせるのは、同じ言葉を各社が別の意味に読むこと、返事の前の確認の往復、契約後に「思っていたものと違う」と分かることです。確認が全く要らなくなるわけではありません。また、各社の単価や提案の中身(構成・デザイン・使う道具)による価格差と、依頼後に要望が変わったときの追加の作業は残ります。
金額の差が生まれる理由はホームページ制作の相見積もり|何社に取るべきか・金額差が生まれる理由に、届いた見積書の読み方はホームページ制作の見積書の見方|損しない5つのチェックポイントにまとめています。この記事で扱うのは、その手前の依頼文です。
言い換えの表:7つの言葉と、追加確認を減らす1行
言葉ごとの読み方・聞かれること・1行の書き方
作る側が確認の質問を送るのは、1つの言葉の下に作業の大きさが違う選択肢がいくつも並んでいるからです。安い方で見積もれば後から追加になり、高い方で見積もれば比べたときに高く見えるため、作る側はどちらかを勝手に決められません。
下の表は、7つの言葉について、作る側が考える読み方、確認する質問、そのまま使える1行の書き方を並べたものです。1行の例の中身は架空です。ご自分の状況に置き換えて使ってください。

| 言葉 | 作る側が考える読み方 | 作る側が聞く質問 | 1行の書き方の例 |
|---|---|---|---|
| 予約機能 | 電話・フォームで希望を受ける/空き枠から確定/外部の予約サービスへのリンク | 何を・誰が管理し・どう確定するか。事前の支払いはあるか | 体験レッスン(60分)を、お客様が空き枠カレンダーから選んで確定する。空き枠はスタッフ2名が入れる |
| SNS連携 | アイコンのリンク/最新の投稿を自動で表示/サイトの更新をSNSへ自動投稿 | どのSNSか。リンクだけか、投稿を表示するか | Instagramの最新投稿をトップに自動で表示し、Xはリンクだけ置く |
| 自分で更新 | お知らせだけ/全ページの文章と写真/ページの追加まで | どこを、誰が、どのくらいの頻度で | お知らせと施工事例を総務1名が月2回ほど足す。ほかのページは依頼して直す |
| ページ数 | 画面の枚数/メニューの項目数/記事を含めた数 | ブログの記事は数に入るか。1枚に縦長にまとめる部分はあるか | 固定のページは5枚(トップ・会社概要・サービス・採用・お問い合わせ)+お知らせの一覧・記事詳細。公開時に入れる記事は〔○〕本 |
| ブログ | 日記のような記事/お知らせ欄/検索から人を呼ぶための記事の運用 | 誰が書くか。分類はいくつか。今の記事を移すか | お知らせの一覧を1つ。記事は自社で書き、分類は「お知らせ」「事例」の2つ |
| お問い合わせフォーム | 名前・メール・本文だけ/見積の項目や添付付き/自動返信と通知の宛先 | 入力の項目、通知を受け取るアドレス、自動返信の有無 | 項目は会社名・氏名・メール・電話・内容の5つ。通知は代表と担当者の2宛先、自動返信あり |
| 既存サイトからの移行 | 文章と写真だけ移す/記事も全部移す/URLを引き継ぐ・転送する/ドメインとメールも移す | 何を移すか。記事は何本か。ドメインとサーバーは続けるか | 文章と写真は今のサイトから使う。お知らせの記事約40本も移す。ドメインは今のまま続ける |
「自分で更新」がどこまでできるかは作り方で変わります。どこを編集できるようにするかはホームページのどこまで自分で編集できるのか、移行で記事のURLを残す考え方はリニューアルで検索順位を落としにくくするURL移行、フォームの作り方はお問い合わせフォームの作り方にまとめています。
「ページ数」は固定のページと記事の部分を分けて書く
「ページ数」の行で固定のページと、記事を増やしていく部分を分けるのは、作る作業の種類が違うからです。記事の部分が作業に入らないという意味ではありません。お知らせや事例の記事の一覧・記事詳細・分類別の一覧の画面(テンプレート)を作る作業や、公開時に入れておく記事(初期記事)の投入も、見積の対象になり得ます。依頼文では「固定5ページ+お知らせ一覧・記事詳細。初期記事○本」のように、別の行として書いてください。
1行で補う要素
表の右の列は、言葉ごとに足りない情報を補ったものです。補う情報は、主に次の3つです。
- 対象:予約するもの、表示するSNS、更新する欄、移す記事など
- 担当:お客様が操作するのか、社内の誰が更新するのか
- 数量や頻度:枚数・本数・頻度・宛先の数
3つがすべての言葉に要るわけではありません。お問い合わせフォームなら項目と通知の宛先、移行なら移すものと本数のように、その言葉に当てはまる範囲で補ってください。
そのまま使える見積依頼のメール例文
新しくサイトを作る場合
表の書き方を入れた例文です。〔 〕の中を自分の状況に書き換えて使ってください。

件名:コーポレートサイト新規制作のお見積りのお願い(〔会社名〕)
〔制作会社名〕ご担当者様
〔会社名〕の〔氏名〕と申します。当社のホームページを新しく作りたく、お見積りをお願いします。
■目的:〔取引先が会社の概要を確かめられるようにすること、採用の応募を受けること〕
■ページ:固定のページは〔5〕枚(〔トップ・会社概要・サービス・採用・お問い合わせ〕)+お知らせの一覧・記事詳細。公開時に入れる記事は〔○〕本
■自分で更新するところ:お知らせを〔総務1名〕が〔月2回〕ほど追加する。ほかのページは依頼して直す
■SNS:〔Instagramはアイコンのリンクだけ置く〕
■お問い合わせフォーム:項目は〔会社名・氏名・メール・電話・内容〕。通知は〔2〕宛先、自動返信あり
■原稿と写真:文章は当社で用意。写真は〔一部撮影をお願いしたい〕
■未定・相談したいこと:〔来店予約を受けるかどうか。受ける場合の方法の違いを教えてほしい。予約時の事前決済は〔未定〕〕
■公開の希望時期:〔2027年3月〕ごろ
■予算:〔◯◯万円〕以内で考えています(範囲内で必要なものを優先したい)
■見積の内訳:初期制作費・外部サービスの利用料・公開後の保守費を分けて知りたい
■見積回答の希望日:〔◯月◯日〕ごろまでにいただけると助かります
ほかにも見積に必要な情報があれば、お知らせください。
〔署名〕
今のサイトを作り直す(リニューアル)場合
リニューアルでは、移すもの・続けるものを書き足します。
件名:ホームページリニューアルのお見積りのお願い(〔会社名〕)
〔制作会社名〕ご担当者様
〔会社名〕の〔氏名〕と申します。当社のホームページのリニューアルについて、お見積りをお願いします。
■今のサイト:〔URL〕(〔◯年〕ごろ制作。今は〔前の制作会社〕に更新を頼んでいます)
■リニューアルの理由:〔スマホで見づらい、お知らせを自分で更新できない〕
■移すもの:今の文章と写真は使う。お知らせの記事〔約40〕本も移したい。記事のURLは〔できれば残したい〕
■続けるもの:ドメインは今のまま。サーバーは〔続けるか移すか相談したい〕。会社のメールは〔同じドメインで使っている〕
■ページ:固定のページは〔6〕枚(〔採用〕のページを新しく足す)+お知らせと〔施工事例〕の一覧・記事詳細
■自分で更新するところ:お知らせと〔施工事例〕を〔担当者1名〕が追加する
■予約:〔来店予約を、お客様が空き枠カレンダーから選んで確定する形にしたい。空き枠はスタッフ2名が入れる〕。事前決済は〔なし/あり/未定〕
■未定・相談したいこと:〔今のサイトの管理画面に入れるかどうかを確認中〕
■公開の希望時期:〔2027年4月〕ごろ
■予算:〔◯◯万円〕以内で考えています
■見積の内訳:初期制作費・外部サービス(予約サービスなど)の利用料・公開後の保守費を分けて知りたい
■見積回答の希望日:〔◯月◯日〕ごろまでにいただけると助かります
今のサイトの画面と記事の一覧を添付します。ほかに必要な情報があれば、お知らせください。
〔署名〕
会社のメールが同じドメインで動いているときは、そのことも書いておくと、作り直しの作業の対象からメールが漏れにくくなります。リニューアル全体の進め方はホームページリニューアルの費用と成功のポイントを参考にしてください。
実例:作る側が実際に確認したこと
ここからは、First CHが2026年4〜10月に受けた見積依頼と、制作会社を探す側に応募した記録から、作る側が確認した例を取り上げます。業種・地域・金額・依頼された方が分かる部分は伏せています。「」内は依頼文にあった言葉、質問は制作側が送った内容の要約です。確認後の回答が記録に無いものは、結果として書いていません。
依頼文・確認の質問・確認できた条件の対照
| 依頼文(匿名化) | 制作側の確認質問(要約) | 確認できた条件 |
|---|---|---|
| 個人の作家サイト:「活動報告を載せたい」「SNSと連携したい」 | 今のサイトのURL/1ページでよいか/活動報告を自分で更新するか/SNSはリンクだけか、投稿を表示するか | 回答の記録は無し |
| 会社のサイト:申込フォームで「カレンダー予約機能」にチェック | 何を予約するか/誰が空きを管理するか/どう確定するか | 意図して選んだものであること(誤って押したものではない) |
| 同じ会社:メニューが横に7列並んだ構成図 | 列ごとに、固定のページか・記事の一覧か・別のページの1区画か | 構成図の中身から、固定のページ4枚と、記事を積み重ねるお知らせ・事例の分類として読めた |
実例1:個人の作家サイトで送った4つの質問
個人で活動している作家の方から、サイトを作りたいという依頼がありました。依頼文の「活動報告を載せたい」「SNSと連携したい」は、書き手の頭の中では具体的なものを指していますが、作る側からはそれぞれ2通り以上に読めます。制作側が見積の前に送ったのは、次の4つの質問です。
| 質問 | 答えによって変わること |
|---|---|
| 今お使いのサイトやページのURLはありますか | 新しく作るのか、今あるものを移すのか。移すなら、どの文章と画像を引き継ぐか |
| 1ページにまとめる形でよいですか | 縦に長い1枚で済むのか、作品・プロフィール・活動報告を別のページに分けるのか |
| 活動報告は、ご自身で更新しますか | 報告を記事として足せる仕組みが要るのか、公開時の内容を載せれば済むのか |
| SNSはリンクを置くだけですか、投稿を自動で表示しますか | アイコンを置くだけで済むのか、投稿を取り込んで表示する設定と、その後の確認が要るのか |
この4つは、依頼文に最初から書けることです。たとえば、次のように書いてあれば(仮定の書き換え例です)、この4つの確認は減らせます。
今のサイトは無い。1ページでよい。活動報告は自分で月に1回ほど足したい。Instagramはアイコンのリンクだけ置く。
実例2:「カレンダー予約機能」のチェックと7列の構成図
ある会社のサイトの依頼では、見積の申込フォームで「カレンダー予約機能」の欄にチェックが入っていました。依頼された方が意図して選んだものです。それでも作る側には、何を予約するのか(来店・面談・オンライン相談・説明会)、誰が空きを管理するのか(担当者1人・複数のスタッフ・部屋や席)、どう確定するのか(お客様が選んだ時点か、会社が返事をするのか)が分かりませんでした。
チェック欄は「予約に関する何かが要る」ことまでは伝えますが、作業の大きさは伝えません。希望を受けるだけならお問い合わせフォームに日時の欄を足せば済みますし、空き枠をその場で確定させるなら、予約システムを選んで設定する作業になります。予約の仕組みの選び方は予約システム導入の費用と選び方で詳しく扱っています。
同じ依頼には、メニューの項目が横に7列並んだ構成図も添えられていました。7列と聞くと7ページの見積になりそうですが、中身を読むと、独立したページとして作るのは4枚で、残りはお知らせや事例として記事を積み重ねていく分類として読めました。ただし、記事の部分も作業が無いわけではありません。前に書いたとおり、記事の一覧・記事詳細・分類別の一覧の画面や、初期記事の投入は見積の対象になり得ます。依頼する側で列ごとに「固定のページ」「記事の一覧」と書き添えておくと、この読み取りの確認を減らせます。
決まっていないことの書き方
「未定」「相談したい」と書いてよい
依頼の段階で、全部が決まっている必要はありません。困るのは、決まっていないことが決まっているように書かれている場合です。「予約機能あり」と書いてあれば、作る側は「予約機能を作る」前提で見積もります。迷っているなら、迷っていると書いた方が正確な見積が返ってきます。

決まっている部分と分けて書く例
書くときは、決まっていることと決まっていないことを分けます。
【決まっていること】
・固定のページは5枚(トップ・会社概要・サービス・採用・お問い合わせ)+お知らせの一覧・記事詳細
・お知らせは総務1名が自分で更新する(月2回ほど)
・ドメインは今のものを続けて使う
【未定・相談したいこと】
・予約:来店の予約を受けたいが、フォームで希望を受けるか、空き枠から確定させるかは未定。事前決済の有無も未定。それぞれの違いを教えてほしい
・SNS:Instagramを表示したいが、リンクだけでよいか、投稿を表示するかは相談したい
・写真:撮影を頼むかどうかは見積を見て決めたい
この形にすると、作る側は決まっている部分を見積もり、未定の部分は「Aの場合」「Bの場合」と分けて出せます。比べる側からすると、各社の見積を同じ条件で並べやすくなります。
「おまかせ」と書く前に
「デザインはおまかせ」「構成はおまかせ」と書くこともできますが、作る側からはどこまで任されたのかが分かりにくい言葉です。任せる場合も「参考にしたいサイトが2つある」「色は会社のロゴに合わせたい」程度の手がかりを添えると、提案の方向がそろいます。準備しておくものの全体はHP制作で準備するもの|クライアント向けチェックリストで確認できます。
送る前に見直すこと
- 表の7つの言葉を使っていたら、その行に対象・担当・数量や頻度が、該当する範囲で入っているか
- ページ数を、固定のページと記事の一覧・記事詳細・初期記事の本数に分けて書いたか
- 見積回答の希望日と、費用の内訳(初期制作費・外部サービスの利用料・保守費)の希望を書いたか
- 決まっていないことが「未定」「相談したい」の欄に分けてあるか
- 同じ文面を、見積を頼む全社に送るか(条件が違うと比べられません)
依頼先をまだ探している場合は、ホームページ制作のサービスも参考にしてください。
