「ホームページを作りたいけど、どの制作者を選べばいいかわからない」
これは、中小企業の経営者やWeb担当者の方からいただく相談の中で、最も多いものの一つです。
実は、ホームページ制作を外注した企業の約87.7%が何らかの失敗を経験しているという業界の実態調査があります。予算超過、イメージとの乖離、機能の不備──その原因の多くは「選び方」にあります。
この記事では、現役のWeb制作エンジニアとして、ポートフォリオの本当の見方と失敗しない制作者の選び方を本音で解説します。
Web制作者選びの失敗は、ポートフォリオの「数」ではなく「中身」を見ることで防げます。見るべきは、課題→解決→成果のストーリーがあるか、自社に近い業種の実績があるか、成果まで公開しているかといった点です。あわせて見積もりの内訳・所有権・契約書を確認し、担当者の人柄とヒアリング力も重視してください。
約9割がWeb制作の外注で「失敗」を経験している

よくある失敗パターン3選
同調査によると、Web制作の外注で最も多い失敗は以下の3つです。
| 失敗内容 | 割合 |
|---|---|
| 予算を大幅に超過した | 32.1% |
| 要望が適切に伝わらなかった | 29.1% |
| 期待していたデザインと大きく異なった | 28.4% |
どれも「制作者選びの段階」で防げた可能性のある失敗です。
特に「要望が適切に伝わらなかった」「デザインが期待と異なった」は、制作会社に依頼した場合に起きやすい問題です。お客様の窓口がディレクターや営業担当で、実際に手を動かすデザイナーやエンジニアとは直接話せないケースでは、伝言ゲームのようにニュアンスがずれてしまうことがあります。
「実績が多い会社を選べば安心」は本当か?
「実績豊富な制作会社を選べば失敗しないはず」──多くの方がそう考えます。
しかし、Webサイト制作の実態調査では意外な結果が出ています。「制作実績の豊富さ」を最大の決め手にして選んだケースでは、失敗確率が最も高かったのです。
なぜでしょうか?
理由はシンプルです。実績の「数」だけでは、自社に合った制作者かどうかは判断できないからです。100件の実績があっても、そのほとんどがECサイトであれば、コーポレートサイトの経験は乏しいかもしれません。
大切なのは「実績の数」ではなく、「実績の中身をどう読み解くか」です。
ポートフォリオで本当に見るべき5つのポイント

ほとんどの「制作会社の選び方」記事は、「ポートフォリオを確認しましょう」と書いて終わりです。しかし、何をどう見ればいいのかを具体的に解説している情報は、ほとんどありません。
制作者として本音でお伝えすると、ポートフォリオには「正しい見方」があります。
① デザインの見栄えではなく「課題→解決→成果」のストーリーがあるか
ポートフォリオで最初に目が行くのはデザインの見栄えだと思います。しかし、正直に言うと、見栄えの良いサイトと、成果の出るサイトは別物です。
本当に見るべきは、以下のストーリーが語られているかどうかです。
- 課題: クライアントはどんな問題を抱えていたのか
- 解決策: その問題に対して、どんなアプローチで制作したのか
- 成果: 制作後にどんな結果が出たのか
たとえば、「デザインをリニューアルしました」だけではなく、「問い合わせが月2件だったサイトを、導線設計の見直しとコンテンツの整理で月10件に改善しました」──こうした具体的なストーリーがあるポートフォリオは、制作者の課題解決力が見えます。
「課題も解決策も成果も書かれていない、ただのスクリーンショット集」のようなポートフォリオは、その制作者が何を考えて作ったのかが分からないということです。
② 自社と同じ業種・規模の制作実績があるか
飲食店のサイトとBtoB企業のサイトでは、必要なノウハウが全く違います。
ポートフォリオを見るときは、自社と同じ業種・同じ規模のサイトがあるかどうかを確認してください。同業種の実績があれば、業界特有の事情を理解した上で制作してもらえるため、打ち合わせもスムーズに進みます。
Webサイト運営責任者118名を対象にした調査でも、制作会社選定の品質面で最も重視されているのは「デザインレベルの高さ」(185点)ですが、その次に「目的達成への意識の高さ」(148点)が挙げられています。業種理解は目的達成に直結します。
③ 制作者自身のサイトは手を抜いていないか
これは「医者の不養生」チェックです。
制作者のホームページ自体が、古いデザインのまま放置されていたり、スマホ対応が不十分だったり、表示速度が遅かったりする場合、「自社のサイトにすら力を入れていない」ということです。
逆に、制作者自身のサイトが丁寧に作り込まれていれば、そのクオリティは信頼の証になります。制作者のサイトは「ポートフォリオの1つ」として見てみてください。
④ 表示速度・スマホ対応を実際にチェックする
ポートフォリオに載っているサイトのURLが公開されている場合、実際にアクセスしてチェックすることをおすすめします。
確認すべきポイントは2つです。
表示速度: Googleが無料で提供している「PageSpeed Insights」というツールにURLを入力するだけで、サイトの表示速度を100点満点で測定できます。スコアが50点未満の場合、表示速度の最適化に力を入れていない可能性があります。

スマホ対応: 自分のスマートフォンで実際にアクセスしてみてください。文字が小さすぎないか、ボタンが押しやすいか、横スクロールが発生しないか。2026年現在、Webサイトへのアクセスの7割以上がスマートフォンからです。スマホでの使い勝手は最も重要なチェック項目の一つです。
⑤ 制作後の「成果」まで公開しているか
ポートフォリオに制作後の成果データまで公開している制作者は、信頼度が高いです。
たとえば、以下のような情報です。
- PageSpeedスコアが○○点から○○点に改善
- 問い合わせ数が月○件から○件に増加
- 検索順位が○位から○位に上昇
こうした数値を出せるということは、納品して終わりではなく、その後の効果測定まで行っているということです。
正直に言うと、成果まで公開しているポートフォリオはまだ少数派です。だからこそ、見つけたら高く評価すべきポイントです。

制作者の本音──こんなポートフォリオは要注意

制作者として活動していると、同業者のポートフォリオを見る機会が多くあります。その中で「これは注意が必要だな」と感じるパターンをお伝えします。
テンプレート使い回しの見分け方
複数の制作実績を見比べてみてください。レイアウトや構造がほとんど同じで、色や写真だけが違うサイトが並んでいる場合、テンプレートを使い回している可能性があります。
テンプレート自体が悪いわけではありません。ただし、「フルオーダーメイドで制作します」と謳いながらテンプレートを使い回しているのは問題です。
見分けるコツは、各サイトのヘッダー(上部メニュー)やフッター(下部)の構造が同じかどうかを比較することです。全く同じ構造であれば、テンプレート制作の可能性が高いです。
担当範囲が曖昧な実績の落とし穴
制作会社のポートフォリオで注意したいのが、「その会社が実際にどこまで担当したのか」が明記されていないケースです。
制作会社の中には、デザインだけ自社で行い、コーディングは外注しているケースや、逆にディレクションだけ担当してデザインもコーディングも外部のフリーランスに丸投げしているケースがあります。
「この実績は、どの範囲を担当されましたか?」と質問して、明確に答えられるかどうかは、信頼性の判断材料になります。
古い実績ばかり並んでいる場合のリスク
ポートフォリオに並んでいるサイトが2〜3年以上前のものばかりという場合は、注意が必要です。
Webのデザイントレンドや技術は日々進化しています。古い実績しかないということは、「最近は仕事が少ない」か「ポートフォリオの更新に手が回っていない」のどちらかです。
制作者に相談する際は、「直近1年以内の制作実績を見せていただけますか?」と聞いてみてください。最新の実績を見せてもらえれば、現在のスキルレベルを正しく判断できます。
ポートフォリオの見方が分かっても、判断に迷うことはあります。お気軽にご相談ください。
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ポートフォリオ以外で確認すべきこと
ポートフォリオだけで制作者を判断するのは危険です。以下の3点も必ず確認してください。
見積もりの内訳が明確か
「ホームページ制作一式 ○○万円」──内訳が分からない見積もりは要注意です。
業界のトラブル事例でも、「原稿作成がオプション費用と後から判明した」「運用費をサイト公開後に初めて告知された」というケースが報告されています。
良い見積もりには、デザイン費・コーディング費・CMS構築費・修正対応の範囲が明記されています。内訳が明確な見積もりを出してくれる制作者は、仕事の進め方も透明性が高い傾向があります。
納品後のサポート体制と所有権の確認
ホームページは「作って終わり」ではありません。公開後のWordPress更新やセキュリティ対策、軽微な修正対応などのサポート体制を事前に確認しておきましょう。
また、サーバーやドメインの所有権が自社にあるかどうかは非常に重要です。制作者名義で契約している場合、その方と連絡が取れなくなった時点で、自社のホームページにアクセスすらできなくなるリスクがあります。実際に、「制作会社切り替え時にデータ引き渡しを拒否された」というトラブル事例も報告されています。
契約書を交わしてくれるか
「フリーランスだから契約書は不要」は危険な考えです。
厚生労働省の委託事業による調査データによると、契約書を交わしていない取引は7割以上にのぼります。契約書がないと、納期遅延や追加費用の請求、著作権の帰属について、トラブルが起きた際に何も証明できません。
2024年11月に施行されたフリーランス新法でも、書面による契約条件の明示が義務化されています。「契約書を用意してくれますか?」と聞いて、快く対応してくれる制作者を選びましょう。
制作者選びで損しないための3つの行動
参考サイトを3つ用意して相談する
制作者に相談する前に、「こんなサイトにしたい」という参考サイトを3つほどピックアップしておくと、やりとりがスムーズに進みます。
同業他社のサイトでも、異業種のサイトでも構いません。「このサイトの色使いが好き」「このレイアウトが見やすい」など、何が気に入ったかを一言添えるだけで、制作者はかなり正確にイメージを掴めます。
相見積もりは2〜3社が適切
相見積もりは取るべきですが、多すぎても逆効果です。
ある実態調査では、コンペ開催の有無は制作の成功確率に関連がないことが判明しています。5社以上に声をかけると、やりとりだけで疲弊してしまい、肝心の「どの制作者が自社に合っているか」の判断がぶれやすくなります。
2〜3社に絞って、それぞれのポートフォリオをこの記事のチェックポイントで比較する方が、良い結果につながります。
「担当者の人柄・ヒアリング力」を重視する
前述の実態調査で、もう一つ注目すべきデータがあります。
制作者選びの決め手として「担当営業・ディレクターの人柄」や「ヒアリング力」を重視した場合、成功確率が60%を超えたのです。別の調査でも、対応面の決定要因として「レスポンスの速さ」と「知識の充実度」がトップに挙げられています。
これは、制作者のスキルだけでなく、コミュニケーションの質が成果を左右するということです。
最初の問い合わせや相談の段階で、以下を感じ取ってみてください。
- こちらの話をしっかり聞いてくれるか
- 専門用語を使わず、分かりやすく説明してくれるか
- レスポンス(返信)は早いか
- 「できない」ことを正直に教えてくれるか
正直に言うと、ホームページ制作は制作者との共同作業です。数ヶ月にわたるやりとりが発生するため、「この人とならスムーズに仕事ができそうだ」と感じられるかどうかは、費用やスキルと同じくらい大切な判断基準です。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 外注の失敗率 | 約87.7%が何らかの失敗を経験。選び方の段階で防げるケースが多い |
| ポートフォリオの見方 | 見栄えではなく「課題→解決→成果」のストーリーを見る |
| 要注意サイン | テンプレート使い回し、担当範囲が曖昧、古い実績ばかり |
| ポートフォリオ以外 | 見積もりの内訳、所有権、契約書の3点を確認 |
| 最も重要な判断基準 | 担当者の人柄・ヒアリング力(成功確率60%超) |
「実績の数が多いから安心」ではなく、「この制作者は自社の課題を理解し、解決してくれるか」という視点で選ぶことが、失敗を防ぐ最大のポイントです。
ポートフォリオの読み解き方を知っているだけで、制作者選びの精度は大きく変わります。この記事のチェックポイントを参考に、信頼できるパートナーを見つけてください。
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