ホームページのプライバシーポリシーに書くこと|問い合わせフォームがあるなら必要な項目と、特定商取引法の表記との違い

アイキャッチ — 問い合わせフォームの画面の横に、受け取った情報をどう扱うかを示す書類が添えられ、フォームと書類が線でつながっている構図

ホームページを作るとき、制作会社から「プライバシーポリシーのページはどうしますか」と聞かれて、手が止まる方は少なくありません。「うちは物を売っていないから要らないのでは」「よそのサイトの文章を借りればいいのでは」「特定商取引法の表記と同じものでは」——どれも、当社が制作の打ち合わせでよく聞く疑問です。

問い合わせフォームを置くと、ホームページはお客様の名前やメールアドレスを受け取る窓口になります。受け取った以上、その情報を何に使い、どう扱うのかを相手に示す必要があります。その役割を担うのがプライバシーポリシーです。一方、特定商取引法に基づく表記は、ネットで商品やサービスを売る場合に求められる別の表示で、目的も載せる中身も違います。

この記事では、プライバシーポリシーが必要になる理由、載せる項目、特定商取引法の表記との違い、よくある間違いと、リンクを置く場所を整理します。なお、当社は制作会社であり法律の専門家ではありません。ここで扱うのは、発注者が制作会社と相談するときの判断材料までです。

この記事の結論

問い合わせフォームがあるホームページでは、受け取った個人情報を何に使うのかを、入力する前の相手に示すのが原則です。その置き場として、プライバシーポリシーのページを作り、フッターとフォームのすぐ近くからリンクするのが基本です。書く内容は、取得する情報・利用目的・第三者への提供・委託・安全管理・開示などの請求窓口・Cookieやアクセス解析の利用・改定の扱いが中心です。特定商取引法に基づく表記は、ネットで販売する場合に別途必要になるもので、プライバシーポリシーの代わりにはなりません。他社の文章をそのまま写すのは避け、自社の実態に合わせて書いてください。


目次

問い合わせフォームがあると、なぜ必要になるのか

個人情報保護法は「利用目的」を相手に示すことを求めている

個人情報保護法は、事業者が個人情報を取得するときのルールを定めています。中心にあるのは、個人情報を何に使うのか(利用目的)を決め、それを本人が分かるようにすることです。

個人情報保護委員会のガイドラインでは、ホームページの入力フォームに本人が自分で情報を入力する場合も、本人から直接書面などで取得する場合として扱われています。この場合は、原則として取得する前に利用目的を本人に明示することが求められます。取得の状況から目的が明らかな場合の例外もありますが、誤解を防ぐため、フォームを置くなら「送信する前に、何に使うかが分かる状態」を作っておくのが確実です。

ここで注意したいのは、法律の条文に「プライバシーポリシーというページを作りなさい」と書かれているわけではない点です。求められているのは利用目的などを本人に示すことで、そのための方法として、多くの会社がプライバシーポリシーのページを使っています。ページが1枚あれば、フォームからも、ほかのページからも同じ内容を示せるためです。

「公表」と「通知」「明示」の違い

個人情報保護委員会の資料では、相手に示す方法がいくつかの言葉で区別されています。発注者として押さえておきたいのは次の3つです。

言葉意味ホームページでの例
公表広く一般に知らせることサイトにプライバシーポリシーのページを載せておく
通知本人に直接知らせること送信後の自動返信メールで利用目的を伝える
明示本人にはっきり示すことフォームの送信ボタンの近くに利用目的やポリシーへのリンクを置く

問い合わせフォームのように本人が入力して送る場面では、ページを載せておくだけでなく、入力する場所から内容が見える・すぐたどれるようにしておくことが大切です。具体的なやり方は後半の「リンクを置く場所」で説明します。

小さな会社でも対象になる

「個人情報を何千件も持っている会社の話では」と思われることもありますが、現在の個人情報保護法は、取り扱う件数にかかわらず、個人情報を事業で使う事業者を広く対象にしています。個人事業主も例外ではありません。問い合わせが月に数件でも、受け取った名前とメールアドレスは個人情報です。

図解 — 訪問者がフォームに名前やメールアドレスを入力し、送信前に利用目的の説明を見て、送信後に会社側で保管・返信に使われるまでの流れを、左から右への矢印で示した図
図解 — 訪問者がフォームに名前やメールアドレスを入力し、送信前に利用目的の説明を見て、送信後に会社側で保管・返信に使われるまでの流れを、左から右への矢印で示した図

プライバシーポリシーに載せる主な項目

ここからは、問い合わせフォームのある一般的な会社サイトで載せることが多い項目を順に説明します。業種や扱う情報によって必要な項目は変わるので、「この項目さえあれば足りる」という一覧ではない点に注意してください。

事業者の名称・住所・代表者

誰が情報を扱うのかを示します。会社名、所在地、代表者名を書きます。個人情報保護委員会は、本人が知り得る状態に置くべき事項として、事業者の名称や住所、法人の場合は代表者の氏名を挙げています。

取得する情報

問い合わせフォームで受け取る項目(氏名、会社名、メールアドレス、電話番号、問い合わせ内容など)を書きます。フォームの入力欄と食い違わないようにしてください。フォームに電話番号の欄を足したのに、ポリシーに電話番号が書かれていない、というずれはよく起こります。

利用目的

最も大事な項目です。「お問い合わせへの回答のため」「見積書・資料の送付のため」「サービスのご案内のため」など、実際に使う目的を具体的に書きます。「当社の事業活動のため」のようにぼんやりした書き方では、何に使うのかが相手に伝わりません。

あとからメールマガジンや新サービスの案内を送りたくなったときは注意が必要です。最初に示した目的と関係のない使い方をするには、原則として本人の同意が要ります。案内を送る可能性があるなら、最初からその目的を書いておきます。

第三者への提供

受け取った個人情報を、本人の同意なく他社へ渡さないことを書きます。法律で認められた例外(法令に基づく場合など)がある旨もあわせて記載するのが一般的です。

業務の委託

ここは誤解の多いところです。たとえば、問い合わせの管理に外部のサービスを使う、発送を業者に任せるといった場合は、第三者への提供ではなく「委託」として扱われます。委託する場合は、委託先をきちんと監督する責任が自社に残ります。委託することがあるなら、その旨を書いておきます。

安全管理措置

受け取った情報を漏らさない・なくさないために、どんな対策をしているかを示します。2022年4月に施行された改正法(2020年成立)で、安全管理のために講じた措置も本人が知り得る状態に置く事項に加わりました。とはいえ、セキュリティの細かい手順まで公開すると、かえって攻撃の手がかりになります。「担当者を限定している」「アクセスできる人を管理している」など、概要を書く形が一般的です。

開示・訂正・利用停止などの請求窓口

本人には、自分の情報について開示や訂正、利用停止などを求める権利があります。その連絡先(担当部署・メールアドレスや電話番号)と、請求の手続きを書きます。苦情の申し出先もここにまとめておくと、本人が迷いません。

Cookieやアクセス解析の利用

アクセス解析のツール(Googleアナリティクスなど)を入れているサイトでは、訪問者の閲覧の記録が外部のサービスに送られています。そのツールを使っていること、Cookieを使っていること、ブラウザの設定で無効にできることなどを書いておきます。広告の配信や効果測定のタグを入れている場合も同様です。

改定の扱いと、制定日・改定日

内容を変えることがある旨と、変えたときの知らせ方を書きます。あわせて、制定日と最終改定日を必ず入れてください。日付が無いと、いつの時点の内容なのか誰にも分かりません。

図解 — プライバシーポリシーの項目を、受け取る前(取得する情報・利用目的)、受け取った後(第三者提供・委託・安全管理)、本人とのやり取り(請求窓口・改定)の3つのまとまりに分けて並べた構造図
図解 — プライバシーポリシーの項目を、受け取る前(取得する情報・利用目的)、受け取った後(第三者提供・委託・安全管理)、本人とのやり取り(請求窓口・改定)の3つのまとまりに分けて並べた構造図

特定商取引法に基づく表記との違い

目的も、守る相手も違う

プライバシーポリシーと並んでフッターに置かれることが多いため混同されがちですが、特定商取引法に基づく表記はまったく別のものです。

プライバシーポリシー特定商取引法に基づく表記
根拠になる法律個人情報保護法特定商取引法
何のためか受け取った個人情報の扱いを示す通信販売の取引条件と販売者を示す
必要になる場面問い合わせフォームなどで個人情報を受け取るときネットで商品やサービスを販売する(通信販売を行う)とき
主な中身利用目的、第三者提供、委託、請求窓口など販売価格、送料、支払方法と時期、引渡し時期、返品の条件、事業者名・住所・電話番号など
所管個人情報保護委員会消費者庁

特定商取引法の表記が必要になるのはどんなときか

ホームページ上で注文を受け付けて販売する場合は、通信販売にあたり、広告に取引条件などを表示する必要があります。ネットショップはもちろん、サイトから申し込みと支払いを受け付けるオンライン講座や有料の相談サービスなども対象になりえます。

反対に、会社の紹介と問い合わせフォームだけのサイトで、サイト上で販売や申し込みの受付をしていない場合は、通常は通信販売にあたりません。ただし、「問い合わせ」と言いながら実際には料金を示して申し込みを受け付けている、といった形は判断が分かれます。サイトの表示を見た人から、サイト・メール・電話などで商品やサービスの申し込みを受けるかどうかを、制作の打ち合わせで先に確認しておくのが確実です(サイト上で決済するかどうかだけでは決まりません)。

ネットショップを自社で持つかどうかの検討は「自社でネットショップを持つべきか」で整理しています。販売を始める場合は、プライバシーポリシーと特定商取引法の表記の両方が必要になると考えてください。

販売するなら、注文の最終確認画面にも気を配る

2021年の特定商取引法の改正(2022年6月施行)で、ネット通販の注文を確定する直前の画面(最終確認画面)に、分量や価格、支払・引渡しの時期と方法、申込みの撤回・解除に関する事項、期限がある場合の申込みの期間などを表示することが求められるようになりました。定期購入の分かりにくい表示によるトラブルが背景にあります。ネットショップの仕組みを選ぶときは、この画面を正しく作れるかも確かめておきます。

外部送信の公表は、また別の話

もう1つ、2023年に施行された電気通信事業法の改正で、利用者の情報を外部へ送信するタグなどについて、その内容を公表する仕組み(外部送信規律)が始まりました。対象になるのは一定の事業を営む事業者で、会社の紹介サイトがすべて対象になるわけではありません。会員制のサービスや情報提供の媒体として運営しているサイトなどは対象になる可能性があるため、該当しそうな場合は総務省の案内を確認するか、専門家に相談してください。プライバシーポリシーの中のCookieの項目と内容が重なる部分もありますが、別の制度として扱われています。


よくある間違い

他社のプライバシーポリシーをそのまま写す

最も多い間違いです。他社の文章には、その会社の業務に合わせた利用目的や委託先が書かれています。写すと、使ってもいない目的が並んだり、本当に使っている目的が抜けたりします。また、他社が時間をかけて作った文章を無断で丸写しすることは、それ自体が問題になりえます。ひな形を参考にする場合も、自社の実態に合わせて1項目ずつ書き直すことが前提です。ひな形を埋めただけで法的に十分になる、という保証はありません。

実態と違うことが書かれている

「第三者に提供しません」と書きながら、実際には問い合わせの内容を外部の営業代行会社と共有している。「アクセス解析は使っていません」と書きながら、解析のタグが入っている。こうしたずれは、書いた当時は正しくても、あとからツールや業務の流れが変わって生まれることが多いです。ポリシーに書いてあることと、実際の運用が一致しているかを、年に1回程度は見直してください。

制定日・改定日が無い、更新されていない

日付の無いポリシーは、いつの内容なのか分かりません。フォームの項目や使っているツールを変えたのにポリシーは何年も前のまま、という状態もよく見かけます。フォームを直したら、ポリシーも直す。この2つを一組で扱う習慣をつけておくと、ずれが生まれにくくなります。

問い合わせ先が実際には届かない

請求窓口のメールアドレスが、退職した担当者の個人アドレスのまま、という例もあります。開示などの請求が届かなければ、窓口を書いた意味がありません。問い合わせフォームそのもののメールが届かない場合の確認方法は「問い合わせフォームのメールが届かない原因と直し方」で扱っています。


リンクを置く場所

フッターには全ページ共通で置く

まずはサイト全体のフッター(ページの一番下)に、プライバシーポリシーへのリンクを置きます。どのページからでもたどり着けることが大切です。特定商取引法の表記が必要なサイトでは、その隣に並べるのが一般的です。

フォームのすぐ近くにも置く

フッターだけでは、入力する人の目に入らないことがあります。問い合わせフォームでは、送信ボタンの直前に「プライバシーポリシーをご確認のうえ送信してください」と書き、ポリシーへのリンクを置くのが基本の形です。同意のチェックボックスを置く方法もあります。チェックボックスを必須にするかどうかは、扱う情報や利用目的によって判断が変わるため、制作会社と相談して決めてください。

リンクは別のタブで開くようにしておくと、入力途中の内容が消えずに済みます。入力の途中でページが切り替わって書いた内容が消えると、そのまま離脱されることもあります。フォーム全体の作り方は「お問い合わせフォームの作り方」で詳しく説明しています。

図解 — ホームページの画面を上から下へ並べ、フォームの送信ボタンの直前とページ最下部のフッターの2か所にプライバシーポリシーへのリンクがある位置を示した図
図解 — ホームページの画面を上から下へ並べ、フォームの送信ボタンの直前とページ最下部のフッターの2か所にプライバシーポリシーへのリンクがある位置を示した図

専門家に相談したほうがよい場面

プライバシーポリシーは、問い合わせを受けるだけの小さな会社サイトであれば、実態を正確に書き出すことで形にできる場合が多いものです。一方で、次のような場合は、弁護士など個人情報や消費者取引に詳しい専門家に相談することをおすすめします。

  • 健康状態や病歴など、特に慎重な扱いが求められる情報を受け取る(医療・介護・相談業など)
  • 会員登録や予約の機能があり、継続的に多くの個人情報を蓄積する
  • 受け取った情報をグループ会社や提携先と共有する、または海外のサービスに保管する
  • ネットで販売を始める(特定商取引法の表記や、利用規約の作成も伴う)
  • 外部送信規律の対象になるかどうか判断がつかない

当社がホームページを制作するときは、フォームの入力項目、使う解析ツール、送信後のメールの流れといった「サイトの仕組みとして何をしているか」を一覧にしてお渡しします。ポリシーの文章を確定させるのは発注者ご自身、または専門家ですが、この一覧があると、実態と違う記載を防ぎやすくなります。制作の契約で何をどこまで頼むのかを整理したい場合は「ホームページ制作の契約書で必ず見る7か所」も参考にしてください。


まとめ:フォームを作るときに、ポリシーも一緒に決める

プライバシーポリシーは、ホームページの完成間際に「とりあえず載せるページ」と考えられがちです。しかし実際には、フォームで何を受け取り、何に使い、誰が扱うのかを決める作業そのものです。フォームの入力項目を決めるときに、利用目的と扱い方も一緒に決めておくと、ずれのないポリシーが書けます。

  • 問い合わせフォームがあるなら、利用目的を入力前の相手に示す
  • 載せる項目は、取得する情報・利用目的・第三者提供・委託・安全管理・請求窓口・Cookie・改定
  • 特定商取引法の表記は、ネットで販売するときに別途必要になる
  • 他社の写しは使わず、制定日と改定日を入れ、運用が変わったら直す
  • リンクはフッターとフォームの近くの2か所に置く

当社では、ホームページの新規制作やリニューアルの際に、フォームの設計とあわせてプライバシーポリシーのページの用意もお手伝いしています。「いまのサイトのポリシーが実態に合っているか分からない」という段階からでもご相談いただけます。制作の内容と費用は「ホームページ制作」のページをご覧ください。

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