ホームページ制作が進むと、実際の画面を見てから気づくことが必ず出てきます。「ここにも写真を入れたい」「この項目は要らなかった」「やっぱり問い合わせフォームを増やしたい」。
これ自体は悪いことではありません。むしろ良いサイトになる過程です。問題は、その扱い方を決めていないと「言った・言わない」になり、最後に費用と納期で揉めることです。
この記事では、何が仕様変更にあたるのか、追加費用はどう決まるのか、どう伝えれば揉めないのかを、制作側の事情も含めて説明します。
「変更したら必ず追加費用」でも「何でも無料で対応」でもありません。 分かれ目は、合意した範囲の中の調整か、範囲の外に出る話かです。範囲の中なら修正回数の枠内で対応、外に出るなら追加の見積が必要になります。一番大事なのは、変更したいと思った時点ですぐ伝えること。工程が進むほど、同じ変更でもかかる手間が増えます。
「修正」と「仕様変更」は別のもの
同じ「直してほしい」でも、制作側から見ると2種類あります。
| 中身 | 費用 | |
|---|---|---|
| 修正 | 合意した内容へ近づける作業 | 見積内(回数の枠がある) |
| 仕様変更 | 合意した内容そのものを変える | 追加の見積が必要 |
具体例で見てください。
修正にあたるもの
- 文章の言い回しを変えたい
- 写真を別のものに差し替えたい(枚数は同じ)
- 色味をもう少し濃く/薄くしたい
- 誤字を直したい
- 見出しの文言を変えたい
もともと作ることになっていたものを、良くする方向の調整です。これは見積に含まれています。
仕様変更にあたるもの
- ページを増やしたい(5ページの予定→7ページ)
- 問い合わせフォームの項目を大幅に増やしたい
- スマホのときだけ違うレイアウトにしたい
- 予約機能をつけたい
- 写真を撮影してほしくなった
作るものの量や種類が変わる話です。ここは追加の見積になります。
判断に迷うもの
実際にはこの中間が一番多く、ここが揉めどころです。
- 「トップページの構成を入れ替えたい」 — 順番だけなら修正、セクションの追加・削除を伴うなら仕様変更
- 「デザインの方向性を変えたい」 — 提出済みのデザインを作り直すことになるので、通常は仕様変更
- 「参考サイトを変えたい」 — 同上
迷ったら、「作り直しが発生するか」で考えてみてください。手を入れるだけなら修正、作り直しなら仕様変更、という感覚に近いです。
同じ変更でも、工程が進むほど高くなる
これは制作の仕組み上どうしようもない部分です。
| 工程 | 「1ページ増やしたい」と言われたら |
|---|---|
| 設計の段階 | 設計書に1行足すだけ。ほぼ影響なし |
| デザインの段階 | デザインを1枚追加。中程度 |
| 実装の段階 | デザイン+実装+動作確認。相応の工数 |
| 公開直前 | 上記すべて+全体の再確認。最も重い |
家を建てるのと同じで、図面の段階で部屋を1つ増やすのと、壁ができてから増やすのでは、同じ「1部屋」でもかかるものが違います。
だから「まだ固まっていないけど、たぶん変える」も早めに伝えてください。 「決まってから言おう」と待つと、その間に作業が進んでしまいます。制作側としては、決まっていないと分かっていれば、その部分を後回しにして進められます。
揉めないための伝え方
① 口頭ではなく文字で残す
打ち合わせで口頭で伝えただけだと、双方の記憶が食い違います。メール・チャットなど後から見返せる形で送ってください。制作側も同じで、「承知しました。追加で◯円・納期は◯日後ろ倒しになります」と文字で返すべきです。
② 「これは追加費用になりますか」と聞いてよい
聞きにくいと感じる方が多いのですが、聞かれた方が制作側も助かります。曖昧なまま作業に入って、請求の段階で伝えるほうがよほど気まずいためです。
判断が分かれそうなときは、着手前に確認するのが双方にとって安全です。
③ 納期への影響もセットで確認する
追加費用だけに目が行きがちですが、納期も動きます。「費用は追加で構わないが、公開日はずらせない」という事情があるなら、それも同時に伝えてください。費用を足せば納期が縮むとは限りません(人を増やしても作業が並行できるとは限らないため)。
見積書・契約書のどこを見ておくか
発注前に確認しておくと、あとで困りません。
- 修正回数 — 「◯回まで」と書かれているか。書かれていない場合は口頭で確認する
- 含まれる範囲 — ページ数、機能、対応するブラウザ・デバイス
- 含まれないもの — ここが明記されている見積書は信頼できます。写真撮影、原稿作成、ロゴ制作などは含まれないことが多い項目です
- 仕様変更が起きたときの手続き — 「書面で申し入れ、追加費用と納期を提示して合意のうえ着手」といった条項があるか
とくに「含まれないもの」の記載は重要です。書いていない見積書は安く見えますが、あとから追加が積み上がる可能性があります。
見積書の読み方全般はホームページ制作の見積書の見方で詳しく解説しています。
制作側の本音
正直なところ、私たちは変更そのものを嫌がってはいません。実際の画面を見て「ここは違うな」と気づくのは、真剣に考えていただいている証拠でもあります。
困るのは変更そのものではなく、次のようなときです。
- 完成間際にまとめて大量に来る — 早く言ってもらえれば工程に組み込めた
- 無料で当然という前提で来る — 作業量の話ができない
- 前の指示と矛盾している — どちらが最新か分からず、確認の往復が発生する
逆に、「これは追加になりますか?」と一言添えて、早めに送ってもらえると、ほとんどの変更はスムーズに収まります。
まとめ
- 修正と仕様変更は別物。 分かれ目は「合意した範囲の中か外か」
- 迷ったら「作り直しが発生するか」で考える
- 同じ変更でも工程が進むほど重くなる。 迷っている段階でも早めに伝える
- 文字で残す。 費用と納期の両方をセットで確認する
- 発注前に修正回数・含まれる範囲・含まれないもの・変更時の手続きを確認しておく
制作は、一度決めたとおりに最後まで進むことのほうが稀です。変更が起きる前提で、その扱い方を最初に決めておくことが、結果的に一番早く・一番安く済みます。
制作全体の進み方はホームページ制作の流れ、発注前に準備しておくことはホームページ制作の準備チェックリストで解説しています。
