ホームページの制作会社を変更したい|引き継ぎで確認する7つのこと

アイキャッチ — 旧会社から新会社へサイト・ドメイン・データの3点が引き渡される移管の構図

「連絡してもなかなか返事が来ない」

「毎月保守費を払っているのに、何をしてもらっているのか分からない」

「小さな修正のたびに見積もりが出てきて、話が進まない」

制作会社を変えたい、というご相談で最初に伺うのはこうした内容です。ただ、実際に切り替えられるかどうかは、不満の大きさではなく「今のサイトが誰の名義で、どこにあり、データを渡してもらえるか」で決まります。ここを確認しないまま解約を伝えてしまい、サイトもメールも止まった状態で相談に来られるケースが実際にあります。

この記事の結論

制作会社の変更は「新しい会社を探すこと」から始めると失敗します。先にやるべきは、ドメイン・サーバー・サイトデータの3つが自社の手に戻る状態かを確認することです。この3つさえ押さえていれば、切り替えは技術的には難しくありません。逆に1つでも相手方の名義のままだと、交渉が終わるまで作業に入れません。

この記事では、制作会社・管理会社を変更するときに確認すべき7項目を、実務で確認する順番どおりに解説します。現行の会社へ連絡する前に読んでいただく前提でまとめました。


目次

変更できるかどうかは「3つの所有権」で決まる

ホームページは1つの塊に見えますが、実際は所有者の異なる3つの要素でできています。

要素中身押さえていないと起きること
ドメインexample.co.jp のような住所同じURLを使い続けられない。会社のメールも同時に止まる
サーバーデータを置いている場所中身を取り出せない。契約を切られると即日消える
サイトデータページ・画像・CMSの中身ゼロから作り直しになる

このうち最も影響が大きいのはドメインです。ドメインが相手方の名義だと、切り替え時にURLが変わり、検索での評価も名刺の記載も作り直しになります。さらに info@ などの会社メールを同じドメインで運用している場合、サイトだけでなくメールが止まります

ドメインとメールは同じ土台に乗っている

「ホームページは最悪作り直せばいい」と考えていても、メールが1日止まるほうが業務への影響ははるかに大きくなります。切り替えの検討はドメインの名義確認から始めてください。

図解 — ドメイン・サーバー・サイトデータの3層構造と、それぞれの所有者が異なりうることを示した図
図解 — ドメイン・サーバー・サイトデータの3層構造と、それぞれの所有者が異なりうることを示した図

確認する7つのこと

現行の会社へ「変更したい」と伝える前に、以下を確認します。伝えた後だと確認に応じてもらえなくなることがあるため、順番が重要です。

  • ドメインの登録名義(Whois情報の登録者・管理担当)
  • ドメインの管理画面にログインできるか
  • サーバーの契約名義と、契約者が誰になっているか
  • サイトデータ(ファイル・データベース)の引き渡しに応じてもらえるか
  • CMS(WordPress等)の管理者権限が自社にあるか
  • 制作物の著作権と、第三者による改変が契約上認められているか
  • 保守契約の解約条件(最低契約期間・違約金・解約予告の期限)

1. ドメインの名義は自分で調べられる

ドメインの登録情報は公開されているため、制作会社に聞かなくても自分で確認できます。「Whois検索」で自社ドメインを調べると、登録者名(Registrant)と管理業者が表示されます。ここが自社名でなく制作会社名になっている場合は、移管の交渉が必要です。

なお、個人情報保護のために代理公開されていることも多く、その場合は表示だけでは判別できません。ドメイン管理画面のログイン情報を持っているかどうかで判断してください。

2. サーバーは「誰が契約しているか」を見る

サーバーには2つの形があります。自社名義でレンタルサーバーを契約しているなら問題ありません。一方、制作会社が自社のサーバーを分割して貸している形だと、その会社から出た時点で置き場所ごと無くなります。この形は月額料金が安めに設定されていることが多く、請求書の名目が「サーバー管理費」「ホームページ利用料」になっている場合は該当を疑ってください。

3. データを渡してもらえるかは契約書で決まる

WordPressのような一般的なCMSで作られていれば、ファイルとデータベースを渡してもらえば移設できます。問題になるのはその会社独自のCMSで作られている場合で、渡されても他社では動きません。この場合、見た目とテキストを引き継いだうえでの作り直しになります。

判断の目安

サイトのソースを表示して wp-content という文字列があればWordPressです。ブラウザでページを開き、右クリック →「ページのソースを表示」で検索してください。見当たらない場合は独自CMSか、別の仕組みの可能性があります。

4. CMSの管理者権限は「自分のアカウントがあるか」

WordPressの管理画面に入れても、権限が「編集者」だと、テーマやプラグインに触れず移設の準備ができません。管理者(Administrator)権限のアカウントが自社にあるかを確認します。

5. 著作権より「改変してよいか」が実務では重要

制作物の著作権が制作会社に残る契約は珍しくありません。実務で問題になるのは所有権そのものよりも、第三者(新しい制作会社)が改変してよいかどうかです。契約書に「複製・改変を禁ずる」旨の条項があると、既存デザインを引き継いだ改修ができません。契約書が手元にない場合は、この機会に取り寄せてください。

6. 解約の予告期限を過ぎると1年延びることがある

年間契約で「満了の3か月前までに申し出がない場合は自動更新」といった条項が入っていることがあります。気づいたときには次の1年が始まっていたというのは、実際によくある詰まり方です。解約したい時期から逆算して、いつまでに何を伝えるかを先に決めてください。

7. URLが変わるならSEOの引き継ぎ設計が要る

同じドメインを引き継ぐなら、検索での評価は基本的にそのまま維持されます。一方、ページのURL構造を変える場合は、旧URLから新URLへの転送設定(301リダイレクト)が必須です。これを飛ばすと、検索エンジンは既存ページが消えたものとして扱い、それまでの評価がリセットされます。新しい制作会社へ依頼するときは、この作業が見積もりに含まれているかを必ず確認してください。

図解 — 旧URLから新URLへの転送設定がある場合と無い場合で、検索評価の引き継ぎがどう変わるかを対比した図
図解 — 旧URLから新URLへの転送設定がある場合と無い場合で、検索評価の引き継ぎがどう変わるかを対比した図

引き継ぎの進め方

確認が済んだら、次の順序で進めます。現行の会社への連絡は3番目である点が重要です。

STEP
現状を記録する

サイト全体のページ一覧・使用しているプラグイン・フォームの送信先・アクセス解析の設定を控えます。移設後に「前はあった機能が消えた」と気づく事故は、この記録が無いことから起きます。

STEP
新しい依頼先を決めて、移設の可否を判断してもらう

現状の記録を渡し、そのまま移設できるか・作り直しが必要かを判断してもらいます。ここまでは現行の会社に知られずに進められます。

STEP
現行の会社へ解約と引き継ぎを申し入れる

解約の意思と、引き渡してほしいもの(ドメインの移管、データ一式、管理者権限)を書面またはメールで伝えます。感情的なやり取りは引き渡しを遅らせるだけなので、事実だけを簡潔に書きます。

STEP
引き渡しを受けて移設し、動作を確認する

新しいサーバーへ移し、表示・フォーム送信・SSL・メールの4点を確認します。この段階ではまだ切り替えません。

STEP
切り替えて、旧環境をしばらく残す

ドメインの向き先を新しいサーバーへ変更します。旧環境は最低1か月は消さずに残してもらうよう依頼してください。移設漏れが後から見つかることがあります。

切り替え当日は営業時間外に行うのが基本です。


費用の目安

引き継ぎにかかる費用は、作業の性質で3つに分かれます。金額は当社での一般的な目安で、サイトの規模と現行環境の状態によって上下します。

内容目安備考
移設のみ(同じ見た目のまま別サーバーへ)3万〜10万円ページ数と使用プラグインで変動
移設+不具合の解消・表示崩れの修正10万〜25万円古いWordPressの更新を伴う場合はこちら
独自CMSからの作り直し30万円〜実質は新規制作。制作費用の相場を参照

移設だけを安く請けて、その後の保守で利益を取るという料金設計の会社もあります。移設費が相場より明らかに安い場合は、その後の月額と作業範囲を必ず確認してください。保守費の考え方はホームページ保守・運用費用の相場で解説しています。

図解 — 移設のみ・移設と修正・作り直しの3パターンで、作業範囲と費用帯の関係を示した図
図解 — 移設のみ・移設と修正・作り直しの3パターンで、作業範囲と費用帯の関係を示した図

現行の会社へ伝えるときの文面

引き継ぎがこじれる原因の多くは、伝え方ではなく要求が具体的でないことです。「引き継ぎをお願いします」だけだと、何をどこまで渡すかで認識がずれます。次の要素を入れてください。

  • 解約の意思と、希望する解約日
  • 引き渡してほしいものの列挙(ドメインの移管手続き・サイトファイル一式・データベース・CMSの管理者権限)
  • 引き渡しの希望期限
  • 引き渡し作業に費用が発生する場合は、事前に見積もりが欲しい旨

理由を詳しく説明する必要はありません。契約に基づいて何を渡してほしいかだけを、期限つきで書くのが最も早く進みます。


よくある質問

制作会社に「データは渡せない」と言われました。どうすればいいですか?

まず契約書を確認してください。引き渡し義務の記載がなければ、法的に強制するのは簡単ではありません。現実的な対応は、公開されているページの内容(テキスト・画像)をこちらで取得し、同じ構成で作り直す方法です。この場合でもドメインさえ自社名義であれば、URLと検索での評価は維持できます。

今のサイトに不満はありませんが、担当者と連絡が取れません。それでも変更すべきですか?

サイトが正常に動いているうちは急ぐ必要はありません。ただし、ドメインの更新手続きだけは期限があります。更新されずに失効すると、サイトもメールも停止し、第三者に取得されると取り戻せません。連絡が取れない状態が続くなら、ドメインの名義と有効期限だけは先に確認してください。

移設中にサイトが見られなくなる時間はありますか?

手順どおりに進めれば、閲覧できなくなる時間はほぼ発生しません。新しいサーバーに完全なコピーを作ってから向き先を切り替えるためです。ただし切り替えの反映には数時間かかることがあり、その間は旧環境と新環境のどちらかが表示されます。この時間帯に更新作業をしないことだけ注意してください。

保守契約の残り期間があります。途中解約できますか?

契約書の解約条項次第です。最低契約期間が定められている場合、残期間分の支払いを求められることがあります。移設の準備は契約期間中でも進められるので、解約可能な時期に合わせて切り替え日を設計するのが現実的です。

新しい会社を選ぶときに、引き継ぎ実績は確認したほうがいいですか?

確認してください。移設は新規制作とは別の技術が要ります。特に、古いWordPressやPHPのバージョンが上がっていない環境からの移設は、そのままコピーしても動きません。制作会社の選び方もあわせてご覧ください。


まとめ

制作会社の変更は、確認 → 依頼先の決定 → 申し入れの順で進めれば、多くの場合スムーズに終わります。順番を逆にすると交渉材料が無い状態で相手の返答を待つことになり、そこで止まります。

  • ドメイン・サーバー・データの3つのうち、自社の手にあるものを先に確認する
  • 現行の会社へ伝えるのは、新しい依頼先の判断を受けた後
  • URLを変えるなら転送設定を見積もりに含める
  • 旧環境は切り替え後も1か月は残してもらう

サーバーやドメインを自社名義で持つべき理由はなぜサーバーはお客様名義で契約すべきかで、名義や契約の基本はドメインとサーバーの基礎知識で詳しく解説しています。サイト自体を作り直す判断に傾いている場合はホームページリニューアルの費用と成功のポイントもあわせてご覧ください。

現在の状態が引き継げるものかどうかの判断だけでも承っています。URLをお知らせいただければ、公開情報の範囲で確認してお伝えします。

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