ホームページの多言語対応はどこまでやるべきか|3つの方法と費用の考え方

アイキャッチ — 1つのホームページから日本語・英語・中国語の3つの入口が分かれていき、それぞれ更新の手間が枝分かれしていく様子を示した図

インバウンドのお客様が増えた、海外の取引先から問い合わせが来た、外国人スタッフの採用を始めた——こうしたきっかけで「ホームページも英語にしたい」というご相談をいただきます。

このとき最初にお伝えしているのは、全ページを翻訳する必要はほとんどないということです。多言語対応で失敗する原因のほとんどは、翻訳の質ではなく維持できなくなることにあります。

この記事では、方法を3つに整理し、どこまでやるべきかの判断材料をまとめます。

この記事の結論

まず「翻訳するページを3〜5枚に絞る」ところから始めてください。 全ページを訳すと、日本語側を更新するたびに翻訳側も直すことになり、半年後には内容がずれた2つのサイトを抱えることになります。多言語対応の本当のコストは制作費ではなく、更新のたびに2倍かかる手間です。


目次

方法は3つあり、費用より「更新の手間」で選ぶ

方法初期費用更新の手間検索での扱い
① 自動翻訳ウィジェットほぼ0なし検索結果には基本的に出ない
② 固定ページを手動で作る翻訳ページのぶんだけ増える出る
③ 多言語プラグイン・仕組みで運用仕組みに乗るので比較的軽い出る

① 自動翻訳ウィジェット

ページに翻訳ボタンを置き、訪問者のブラウザ側で訳す方式です。費用はほぼかからず、更新の手間もゼロです。

向いているのは、「たまたま来た海外の人が読めればよい」というケース。逆に向いていないのは、海外から検索で見つけてほしいケースです。ブラウザ側で訳しているだけなので、翻訳後のページは検索エンジンに登録されません。

注意

自動翻訳は、固有名詞と業界用語で誤訳が出ます。サービス名・商品名・会社名が意図しない意味に訳されることがあるので、導入後に主要ページだけは実際に切り替えて目視してください。料金表の数字の単位が変わるような誤りが出ると、そのまま問い合わせのトラブルになります。

② 固定ページを手動で作る

英語版のページを人が作る方式です。3〜5枚に絞るなら、これが一番現実的です。

当社がお勧めしているのはこの形です。理由は、枚数が少なければ日本語側を更新したときに直す場所も少なく、運用が破綻しないからです。

③ 多言語プラグイン・仕組みで運用

WordPressなら多言語プラグイン、Next.jsなら国際化の仕組みを入れる方式です。ページ数が多く、今後も両方を継続的に更新する前提があるなら、これが正解になります。

ただし、ページ数が10枚程度なら②で足ります。 仕組みを入れると、プラグインの更新・言語切り替えの不具合・表示崩れといった保守の対象が増えます。

ここまでの要点:選ぶ基準は費用ではなく「何枚を、誰が、どのくらいの頻度で更新し続けられるか」です。


翻訳するページの絞り方

全ページを訳さないなら、どれを訳すか。「相手が意思決定するのに要る情報」だけに絞ります。

図解 — 会社概要・サービス・アクセス・問い合わせの4枚を英語で用意し、残りの日本語ページはそこへ集約する構成を示した図
図解 — 会社概要・サービス・アクセス・問い合わせの4枚を英語で用意し、残りの日本語ページはそこへ集約する構成を示した図
STEP
① 何をしている会社か

1ページで完結させます。事業内容・規模・所在地・設立年。日本語版の会社概要をそのまま訳すのではなく、海外の読み手に必要な情報だけに組み直してください。

STEP
② 何を提供しているか

サービス・商品の一覧。価格を出すかどうかは業種次第ですが、「いくらくらいか」の目安が無いと問い合わせは来ません

STEP
③ どうやって行くか/どう買うか

実店舗なら地図とアクセス、営業時間、決済手段。BtoBなら取引の流れと納期の目安。

STEP
④ どう連絡するか

問い合わせフォーム。このフォームだけは英語で受けられる状態にしてください。日本語フォームへ飛ばすと、そこで止まります。

この4枚に絞れば、日本語側を更新しても直す場所が限られます。残りのページは日本語のままで構いません。 読めない人は、そもそもその情報を必要としていません。

「載せない」のも設計

訳さないページがあることは欠陥ではありません。問題は、英語のリンクをたどった先が突然日本語になることです。英語ページからのリンク先は英語ページに閉じ、日本語ページへは飛ばさない。これだけで印象がまったく変わります。


URLの決め方と、設定でやること

技術的に押さえるのは3点だけです。

① URLの形を決める

向いている場合
サブディレクトリexample.com/en/ほとんどの場合これ。管理も検索評価も1つにまとまる
サブドメインen.example.com別のサーバー・別の運営体制で持つ場合
別ドメインexample.comexample.co.uk国ごとに法人・事業が別の場合

中小企業の多言語対応なら、サブディレクトリ(/en/)で問題ありません。 別ドメインにすると、検索評価を一から積み直すことになります。

② 言語の宣言と相互リンク

各ページに「このページは何語か」を宣言し、対応する別言語ページを互いに指し示す設定(hreflang)を入れます。これが無いと、検索エンジんがどちらを誰に見せるか判断できず、意図しない言語のページが表示されます。

日本語ページに「英語版です」と宣言されている事故が実際にあります。

③ 切り替えボタンの位置

言語切り替えはヘッダーの右上に置いてください。フッターだけに置くと見つかりません。国旗のアイコンではなく「English」「日本語」というテキストにすると、どの国の人にも伝わります。


費用と期間の目安

翻訳の方式と枚数で変わります。

内容目安
自動翻訳ウィジェットの設置数万円(設置作業のみ)
英語ページ4枚の追加(翻訳文は支給)10万円前後
英語ページ4枚の追加(翻訳も込み)翻訳料が別途加算される
多言語プラグインの導入・全ページ対応規模により大きく変動

2026年9月時点の一般的な相場感です。

翻訳そのものは、専門用語のある業種では機械翻訳だけで済ませないほうがよいです。当社では、機械翻訳で下訳を作り、その業界を知っている人に確認してもらう形をお勧めしています。全文を人手で訳すより費用を抑えられます。

制作費全体の考え方は ホームページ制作費用の相場 を参照してください。


よくある質問

英語だけでよいですか。中国語も必要ですか

来訪者や取引先の実態で決めてください。判断材料は、いまのサイトのアクセス解析で「どの国から見られているか」です。データが無いまま言語を増やすと、更新されないページが増えるだけになります。まず英語だけで始め、必要が出てから足すので間に合います。

自動翻訳だけではだめですか

「たまたま来た人が読める」ことが目的なら十分です。「海外から検索で見つけてほしい」なら足りません。翻訳後のページは検索エンジンに登録されないためです。目的がどちらかで判断してください。

英語ページを作ったのに、海外から検索されません

ページを作っただけでは順位は付きません。英語圏の検索で戦うには、その言語での検索需要に沿った内容が要ります。日本語ページの直訳では、そもそも検索されている語が入っていないことが多いです。まずは「会社名で検索されたときに英語で読める」ところまでを目標にしてください。

問い合わせが英語で来たら対応できません

フォームに「返信は日本語または簡単な英語になります」と書いておけば問題ありません。書かずに受け付けて返答できないほうが、印象を損ねます。


まとめ

多言語対応は、翻訳の質より維持できる範囲に絞ることが成否を分けます。

  • 全ページを訳さない。会社概要・サービス・アクセス/取引の流れ・問い合わせの4枚から
  • 自動翻訳は「読める」ためのもの。「検索で見つかる」ためには実ページが要る
  • URLは /en/ のサブディレクトリでよい。別ドメインにすると評価を積み直しになる
  • 言語の宣言と相互リンクを入れる。切り替えはヘッダー右上にテキストで
  • 翻訳は機械翻訳+業界を知る人の確認、が費用対効果が高い

どの範囲まで必要かの判断は、いまのアクセスの実態を見るのが早道です。解析データをお持ちであれば、お問い合わせから一緒に確認できます。

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