問い合わせフォームの通知が鳴るたびに開いてみると、また売り込みだった。そんな日が続くと、通知を開くこと自体が面倒になります。そのうち本物の相談が営業メールに埋もれて、返事が数日遅れるのではないか。そう心配になっている担当者の方も多いと思います。
この記事では、First CHの自社フォームの問い合わせ台帳を数えた結果をもとに、売り込みを「止める」ではなく「分ける」やり方をまとめます。Contact Form 7で通知を分ける設定と、自分で直せるか制作会社に頼むかの見分け方も載せます。
フォーム営業は、完全には止められない前提で考えます。用件の選択肢に「営業・協業のご提案」を置いて、通知を分けるのが現実的です。自社フォームでは、2026年10月5〜16日に届いた売り込み24件のうち23件が自分でその選択肢を選び、1件は「新規Web制作依頼」を選んでいました。
すり抜けがある以上、選択肢だけで自動的に捨てず、人が目を通す順番を変えるために分けます。
自社フォームに届いた売り込みの中身(2026年6〜10月)
月ごとの件数
First CHの問い合わせ台帳を、2026年10月21日の時点で数えました。台帳では、当社への売り込みとスパムも記録はしますが、問い合わせの件数には入れていません。
| 月 | 売り込み | スパム(意味の無い送信など) | 仕事の相談・依頼※ |
|---|---|---|---|
| 6月 | 14件 | 5件 | 0件 |
| 7月 | 11件 | 3件 | 1件 |
| 8月 | 24件 | 2件 | 2件 |
| 9月 | 18件 | 0件 | 0件 |
| 10月(21日まで) | 32件 | 0件 | 5件 |
| 合計 | 99件 | 10件 | 8件 |
※「仕事の相談・依頼」は、フォーム以外の経路から届いたものも含む台帳全体の件数です。
この期間、フォームから届いた仕事の相談はごくわずかで、フォームに届くものの大半は売り込みでした。
ただし、9月30日に台帳の付け方を、人の手書きから自動記録に切り替えています。10月の数が多いのは、手書きのときに漏れていた分を拾うようになったからかもしれません。そのため、売り込みが増えたとは言い切れません。
切り替えた後のスパムが0件なのも、減ったとは言い切れません。理由までは確かめていませんが、自動記録に残るのはフォームから送信できたものだけです。reCAPTCHAで止まった送信は、台帳には記録されないと考えられます。
売り込みの種類
台帳の分類では、売り込みを次のように分けています。
- 外注パートナー・下請けの協業提案(制作やコーディングを請け負うという連絡)
- 相互リンク・記事掲載の依頼
- 広告・ツール・人材サービスの営業
種類の割合は、10月中旬の時点で台帳にあった売り込み84件の件名で数えました。上の表は10月21日の時点で数えたものなので、数えた日がずれており、表の合計(99件)とは一致しません。84件のうち「制作・パートナー・下請・外注・コーディング・デザイン」のどれかを件名に含むものが50件で、約6割です。本文までは読んでいないので、大まかな数字と考えてください。業種によって中身は変わるはずです。ただ、自社の業種に近い売り込みが一番多い傾向は、ほかの会社でもあり得ます。

「営業・協業のご提案」を置いた結果:24件中23件
選択肢と案内の1文を足した
自社フォームの「お問い合わせ内容」には、2026年10月2日に「営業・協業のご提案」という選択肢を足しました。フォームの上には「営業・協業のご提案は、『お問い合わせ内容』で『営業・協業のご提案』を選んでお送りください」という1文を入れています。「お断り」とは書かず、送る場所を案内しました。
数えた結果
10月5〜16日に届いた24件を、通知メールで1件ずつ読みました。24件すべてが売り込みでした。
| 選ばれた用件 | 件数 | 中身 |
|---|---|---|
| 営業・協業のご提案 | 23件 | 売り込み |
| 新規Web制作依頼 | 1件 | 売り込み |
売り込みを送る側も、多くは用意された窓口を素直に選んでいました。一方で、24件に1件は依頼の欄から入ってきています。この1件が、次の線引きの理由です。
なお、この数字は12日間・24件だけのものです。期間を延ばせば割合は変わり得ます。
捨てる損と見落とす損:選択肢だけで自動削除しない
自動で捨てると何が起きるか
「営業を選んだものは自動で削除する」と決めれば、受信箱は静かになります。ただ、次の2つの損が出ます。
- 営業欄に入った本物の相談を捨てる:選び間違いは起こり得ます。それに、取引先から「協業のご相談」として届く連絡が、自社にとっての仕事であることもあります。
- 依頼の欄から入った売り込みは残る:今回の1件のように、すり抜けたものは消えません。そのため、受信箱を見る気が緩んだところで混ざってきます。
捨てるのは一瞬ですが、捨てた相談は戻ってきません。見落としのほうが損が大きいので、自動で消すのではなく、人が目を通す順番を変えるために分けます。
線引きは2つ
- 用件と本文が食い違うものは人が見る:今回の1件のように、依頼の欄から入る売り込みがあります。依頼の欄に届いたものは、本文と照らしてから扱いを決めます。
- 営業欄も週1回は件名に目を通す:選び間違えた相談や、取引先からの協業の相談が混ざっていないかを確かめます。毎日開かなくてよい分、見る日を決めておきます。
用件と本文を照らす手順
依頼の欄から届いたものは、次の順に見ます。
- 本文に、頼みたいこと(何を・いつまでに・どのくらいの規模で)が書いてあるか
- 書き手が「弊社は〜を提供しています」と、自分の商品を説明する側になっていないか
- 自社のサイトのことではなく、送り手のサービスの話が中心になっていないか
1が無く、2と3に当てはまるなら売り込みと見てよいでしょう。営業欄に入ったものは逆に、1が書かれていないかだけ確かめます。

防ぐ対策と、届いた後に分ける対策
送信される前に防ぐ対策
フォーム営業の対策を調べると、reCAPTCHA・お断りの文言・入力項目を増やす・送信元のドメインや言い回しで弾く・営業メールを判定する外部サービス、などがよく挙がります。
reCAPTCHAは、人とボットを見分けるGoogleの仕組みです(reCAPTCHA公式)。料金は時期によって案内が変わっているので、無料で使える範囲は導入前に公式の案内で確かめてください。自動で大量に送られる不正な送信には向いています。当社のフォームにも入っていますが、上の売り込みはその状態で届きました。営業をどれだけ止めたかは、自社では測っていません。
10月の自動記録では、どこから来たかを示す情報(参照元)が残っていない送信が多くありました。ただ、参照元が無いことだけでは、送り手が人かツールかも、どこから来たかも分かりません。「ツールだから止められる」とも「人だから止められない」とも言えないということです。
お断りの文言も同じです。対策をまとめた記事でも「それだけで止まるわけではありませんが、抑止にはなります」という書き方にとどまっています(ファネルAI)。効くかどうかは、送り手やフォームによって変わると考えておきます。
送信元のドメインや決まった言い回しで弾く方法もあります。CF7は、WordPressの「設定」→「ディスカッション」にある禁止ワードの一覧(ディスアロウリスト)に当たる送信をスパムとして扱います。ここに、売り込みを送ってくる業者のドメインや、よく使われる言い回しを入れておく形です。ただし、言い回しが本物の相談の文面と重なると、その相談も止まります。
営業メールかどうかを判定して弾く外部サービス(FormGuardなど)もあります。手間は減りますが、判定の誤りで止まった相談は、こちらからは気づきにくくなります。
ここまでの対策は、どれも届く前に自動で捨てる側のものです。減らす効果はあっても、誤判定で本物の相談を失う損が残ります。そこでこの記事では、捨てずに分ける対策を中心にしています。
届いた後に分ける対策
防ぐ対策は「どれだけ減ったか」を自分で確かめにくいものです。分ける対策は、効いているかどうかが受信箱を見ればすぐ分かります。
| 対策 | 効き目の確かめ方 | 本物の相談を失う恐れ |
|---|---|---|
| reCAPTCHA・お断りの文言 | 届かなくなった分は数えられない | 判定の誤りで止まる可能性はある |
| 禁止ワード(ドメイン・言い回し) | 届かなくなった分は数えにくい | 言い回しが相談と重なると止まる |
| 営業メールの判定サービス | サービス側の記録で見る | 誤判定で止まった相談に気づきにくい |
| 用件で通知を分ける | 欄ごとの件数をそのまま数えられる | 自動で捨てなければ失わない |
Contact Form 7で通知先を分ける
WordPressのContact Form 7(以下CF7)なら、プラグインを足さずに分けられます。やり方は2段階あるので、軽いほうから試します。
段階1:件名に用件を出す(通知先は変えない)
メールの設定にある「題名」に、用件の項目を入れます。
【[select-summary]】ホームページからのお問い合わせ
select-summary の部分は、自社のフォームで用件の項目に付けた名前に置き換えます。これで件名の頭に「【営業・協業のご提案】」のように出ます。通知先は変わらないので、ほかの設定に響きにくい方法です。
あとはメールソフトで振り分けます。Gmailなら次の手順です。
- 画面上の検索欄の右にある「検索オプションを表示」を開く
- 「件名」に
【営業・協業のご提案】と入れ、「フィルタを作成」を押す - 「ラベルを付ける」にチェックを入れ、「営業」などのラベルを選ぶ(新しく作ってもよい)
- 「フィルタを作成」を押して保存する
このとき「削除する」は選びません。営業欄にも週1回は目を通すためです。
段階2:選んだ用件で送信先を変える
CF7の選択肢は、「見せる文字|送る値」のように縦棒(パイプ)で区切れます。訪問者に見えるのは縦棒の前の文字です。後ろの値は、メールの設定に入れた項目の値として使われます。
[select* select-summary "新規Web制作依頼|info@example.com" "保守・運用|info@example.com" "営業・協業のご提案|sales@example.com"]
メールの設定の「送信先」に [select-summary] を入れると、選ばれた用件に合ったアドレスへ届きます。注意点が1つあります。縦棒を使った後に、件名や本文で [select-summary] を使うと、そこにもアドレスが出てしまいます。用件の文字を出したい所は [_raw_select-summary] に書き換えます。
架空の3通で試す
設定を変えたら、架空の内容で3通送ります。
- 通常の相談(用件:新規Web制作依頼、本文:具体的な依頼)→ いつもの窓口に届くか
- 営業を選んだ売り込み(用件:営業・協業のご提案)→ 営業用の宛先に届くか
- 依頼を選んだ売り込み(用件:新規Web制作依頼、本文:自社サービスの紹介)→ いつもの窓口に届き、件名と本文を照らして見分けられるか
3通目が、選択肢では分けきれないものです。これが受信箱でどう見えるかまで確かめておきます。通知が届かないときの確かめ方は問い合わせフォームのメールが届かない原因と直し方にまとめています。

自分で直すか、制作会社に頼むかの条件表
3つの点で分ける
| 確かめる点 | 自分で直せる | 制作会社に頼む |
|---|---|---|
| フォームを編集する権限 | 管理画面でCF7の「コンタクトフォーム」を開いて保存できる | ログインできない、または編集の権限が無い |
| フォームの作り | CF7などのプラグインで、管理画面から編集できる | テーマに直接書き込まれている、外部のフォームサービスを埋め込んでいる |
| 通知先を変えた時の影響 | 件名を変えるだけ(段階1) | 自動返信・顧客管理・計測タグなどが用件の値を使っている |
段階1は、多くの場合自分で直せます。段階2は、用件の値をほかの仕組みが読んでいないかを確かめる必要があります。分からなければ頼んだほうが安全です。頼むときは「用件で通知を分けたい。自動返信と計測に影響が出ないか確認してほしい」と、目的と心配な点を一緒に伝えると話が早く進みます。
フォームの作り方そのものを見直すならお問い合わせフォームの作り方を、サイト全体の作り直しも含めて依頼先を探している場合はホームページ制作も参考にしてください。
今日確かめる5項目
- 用件の選択肢に、営業用の欄があるか
- 通知メールの件名に、選ばれた用件が出ているか
- 通知が誰のアドレスに届き、誰が読んでいるか(退職者のアドレスのままになっていないか)
- メールソフトに、問い合わせの通知を自動で削除・迷惑メール行きにするルールが無いか
- フォームがプラグインか外部サービスか、自分の権限で編集できるか
5つのうち1と2が無ければ、まず選択肢と件名から始めます。3と4は、売り込み対策とは関係なく、本物の相談を取りこぼさないために今日のうちに見ておく項目です。
