「ホームページを作りたいけど、WordPressとWixとNext.js、どれを選べばいいの?」
ネットで調べると「Wixなら無料で作れる」「Next.jsが最速」「WordPressが定番」と、それぞれを推す記事が山ほど出てきて、余計に混乱しますよね。
私はWordPress/SwellとNext.jsの両方で企業サイトを制作しています。Wixでの制作は扱っていませんが、お客様から「Wixで自作するのと、プロに頼むのはどちらが得か?」というご相談を頻繁にいただくため、Wixの仕様・料金体系・実サイトのパフォーマンスを継続的に検証しています。どれか一つを売りたいポジションではないので、制作者の本音で比較します。
先に結論をお伝えすると、中小企業のコーポレートサイトにはWordPressが最もバランスの良い選択肢です。ただし、予算や状況によってはWixやNext.jsの方が適しているケースもあります。
30秒でわかる判定チャート
まず、あなたの会社にどのツールが向いているか、簡単に判定してみてください。

Q1. ホームページの制作予算はいくらですか?
→ 10万円以下 → Wixがおすすめ → 判定終了
→ 10万〜100万円 → Q2へ
→ 100万円以上 → Q3へ
Q2. 制作後、社内で自由にページ追加やデザイン変更をしたいですか?
→ はい、できるだけ自分で更新したい → WordPressがおすすめ
→ いいえ、更新は制作者に依頼してOK → WordPressがおすすめ(コスパ最優先ならWixも選択肢)
Q3. サイトの表示速度やセキュリティがビジネスの売上に直結しますか?
→ はい(EC・大規模メディアなど) → Next.jsを検討する価値あり
→ いいえ → WordPressで十分
多くの中小企業は、Q1〜Q2の時点でWordPressに決まります。それで全く問題ありません。
そもそも3つのツールって何が違うの?
技術に詳しくない方のために、3つのツールの特徴をわかりやすく説明します。
WordPress ── 世界シェアNo.1の「万能型ホームページ作成ツール」
WordPress(ワードプレス)は、世界中のWebサイトの約43%で使われている、最も普及したCMS(コンテンツ管理システム=ホームページを管理・更新するための仕組み)です。
たとえるなら、「注文住宅の設計図がたくさん用意されていて、その中から選んでカスタマイズする」ようなイメージ。テーマ(デザインのテンプレート)やプラグイン(追加機能)が豊富で、ほとんどの要望に応えられます。
Wix ── 誰でも直感的に作れる「ノーコード型ホームページ作成サービス」
Wix(ウィックス)は、ブラウザ上でドラッグ&ドロップするだけでホームページが作れるサービスです。プログラミングの知識は一切不要です。
たとえるなら、「賃貸マンションの部屋を、用意された家具の中から選んでレイアウトする」ようなイメージ。手軽に始められますが、自由度には限界があります。
Next.js ── エンジニアがゼロから作る「高性能カスタムサイト」
Next.js(ネクストジェイエス)は、プログラミング言語(React/JavaScript)を使ってサイトをゼロから構築する技術です。
たとえるなら、「完全自由設計の注文住宅をゼロから建てる」ようなイメージ。理想を100%実現できますが、設計・施工に専門の技術者が必要で、費用も時間もかかります。
5つの比較軸で徹底比較
総合比較表
| 比較軸 | WordPress | Wix | Next.js |
|---|---|---|---|
| ① 制作費用 | ○ 30万〜80万円 | ◎ 0〜30万円 | △ 80万〜300万円 |
| ② 自由度・デザイン | ○ テーマの範囲内で柔軟 | △ テンプレートの制約あり | ◎ 完全に自由 |
| ③ 更新のしやすさ | ◎ 管理画面で簡単 | ◎ 直感的に操作できる | △ CMS導入が別途必要 |
| ④ SEO対策 | ◎ プラグインで充実 | ○ 基本的な対策は可能 | ◎ 構造的に有利 |
| ⑤ 拡張性 | ◎ プラグインで拡張可能 | △ Wixの機能内に限定 | ◎ 制約なし |
以下、各項目を詳しく解説します。
① 制作費用 ── Wixが最安、Next.jsが最も高い
| 項目 | WordPress | Wix | Next.js |
|---|---|---|---|
| 5ページのコーポレートサイト | 30万〜50万円 | 0〜15万円 | 80万〜150万円 |
| 10ページのコーポレートサイト | 50万〜80万円 | 10万〜30万円 | 150万〜300万円 |
| 月額運用費 | 6,000〜15,000円 | 1,000〜3,000円 | 5,000〜25,000円 |
Wixは無料プランもありますが、企業サイトとして使うなら独自ドメイン(自社専用のURL)やWixの広告非表示が必要なため、有料プラン(月額1,000〜3,000円程度)が現実的です。
正直に言うと、Wixで自作すれば費用は最も抑えられます。ただし、「費用が安い=最適」ではありません。後述するデメリットも含めて検討してください。
② 自由度・デザイン ── 何をどこまで実現したいか
WordPressは、テーマ(デザインテンプレート)をベースにカスタマイズします。私が使用しているSwellテーマは、中小企業のコーポレートサイトに必要なデザインをほぼすべてカバーしています。
Wixは、用意されたテンプレートの中からデザインを選び、パーツを動かして調整します。見た目はきれいに仕上がりますが、「ここをもう少しこうしたい」という細かい要望に応えきれないことがあります。
Next.jsは、デザインの制約が一切ありません。Figma(デザインツール)で描いたデザインをそのまま100%再現できます。
③ 更新のしやすさ ── 「作った後」を想像してください
| 操作 | WordPress | Wix | Next.js |
|---|---|---|---|
| ブログ記事の投稿 | ◎ 管理画面から簡単 | ◎ ドラッグ&ドロップ | △ CMS経由で投稿 |
| 写真の差し替え | ◎ メディアライブラリから | ◎ クリックで差し替え | △ CMS経由 |
| 新しいページの追加 | ○ テンプレートを使って作成 | ○ テンプレートから追加 | × エンジニアの作業が必要 |
| デザインの変更 | △ テーマの範囲内で可能 | ○ ドラッグ&ドロップで変更 | × エンジニアの作業が必要 |
更新のしやすさはWordPressとWixが圧倒的です。特にWordPressは、ブログ感覚で記事を投稿できるため、ITに詳しくない方でもすぐに使いこなせます。
Next.jsの場合、記事投稿にはmicroCMSなどの外部サービスを導入しますが、ページの追加やデザイン変更はエンジニアに依頼する必要があります。
④ SEO対策 ── 検索結果で上位に表示されるか
| 項目 | WordPress | Wix | Next.js |
|---|---|---|---|
| メタタグ設定 | ◎ プラグインで簡単 | ○ 設定画面から可能 | ◎ プログラミングで自由に |
| Core Web Vitals | ○ テーマ次第で良好 | △ やや重くなりがち | ◎ 構造的に高スコア |
| 構造化データ | ◎ プラグインで対応 | △ 対応が限定的 | ◎ 自由に実装可能 |
| サイトマップ | ◎ 自動生成 | ◎ 自動生成 | ○ プログラミングで実装 |
正直に言うと、SEOの成果を決めるのは技術よりもコンテンツの質です。 どのツールを使っても、良質なコンテンツがなければ上位表示は困難です。
ただし、Wixはサイトの表示速度がWordPressやNext.jsと比べてやや遅くなる傾向があります。これはGoogleのCore Web Vitals(表示速度に関する評価指標)に影響する可能性があるため、SEOを重視する場合はWordPressかNext.jsが有利です。

⑤ 拡張性 ── 将来の成長に対応できるか
| 要件 | WordPress | Wix | Next.js |
|---|---|---|---|
| ECサイト機能の追加 | ◎ WooCommerce等 | ○ Wix内蔵機能 | ◎ 自由に構築 |
| 会員制サイト | ◎ プラグインで対応 | △ 簡易的な機能のみ | ◎ 自由に構築 |
| 多言語対応 | ◎ プラグインで対応 | ○ Wix Multilingualで対応 | ◎ 自由に実装 |
| 外部サービス連携 | ◎ API・プラグイン豊富 | △ Wixが対応するもののみ | ◎ 制約なし |
WordPressは60,000以上のプラグインがあり、ほとんどの機能を後から追加できます。ECサイト、会員制サイト、予約システムなど、ビジネスの成長に合わせた拡張が可能です。
Wixは、Wixが提供する機能の範囲内での拡張に限られます。「こんな機能を追加したい」と思っても、Wixが対応していなければ実現できません。 これが最大の制約です。
Next.jsは技術的な制約はありませんが、拡張のたびにエンジニアの作業が必要です。
予算別おすすめ|あなたに最適なツールはこれ
予算10万円以下 → Wixで自作、または一部プロに依頼
予算が限られている場合、Wixで自作するのが現実的です。テンプレートを選んで情報を入力すれば、それなりのサイトが完成します。
ただし、注意点があります。
- デザインの自由度が低い(「素人っぽさ」が出やすい)
- SEO対策に限界がある(特に表示速度)
- 将来の拡張性が低い(Wixからの移行は基本的に「ゼロからの作り直し」)
「まずはホームページを持つことが最優先」「予算ができたら本格的なサイトに作り替える」という割り切りができるなら、Wixは有効な選択肢です。
予算30万〜80万円 → WordPress一択
この予算帯は、WordPressの独壇場です。
中小企業のコーポレートサイト(5〜10ページ程度)をプロに依頼して、高品質に制作できます。Swellテーマを使えば、表示速度・SEO・デザインのいずれも高い水準で実現可能です。
私に相談いただくお客様の大半がこの予算帯で、ほぼ全員にWordPressをおすすめしています。

予算100万円以上 → Next.jsを検討する価値あり
予算が100万円を超える場合、Next.jsという選択肢が現実的になります。
- 表示速度がビジネスに直結するサイト(EC、メディアなど)
- 完全オリジナルのデザインが必要な場合
- 将来的にWebアプリケーションとして拡張する計画がある場合
ただし、100万円以上の予算があっても、多くの中小企業にはWordPressの方が適しています。Next.jsは「予算があれば選ぶべき」というものではなく、「Next.jsでなければ実現できない要件がある場合」に選ぶものです。
3年間の総コスト比較
初期費用だけでなく、3年間のトータルコストで比較するのが賢明です。
5ページのコーポレートサイトの場合
| 項目 | WordPress | Wix(プロに依頼) | Wix(自作) | Next.js |
|---|---|---|---|---|
| 初期制作費 | 35万円 | 15万円 | 0円 | 100万円 |
| テーマ/ツール費(初期) | 1.8万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 月額費用(サーバー等) | 約1万円/月 | 約2,000円/月 | 約2,000円/月 | 約1.5万円/月 |
| 保守費 | 約7,000円/月 | なし | なし | 約1万円/月 |
| 1年目の総コスト | 約57万円 | 約17万円 | 約2.4万円 | 約130万円 |
| 3年間の総コスト | 約98万円 | 約22万円 | 約7.2万円 | 約190万円 |
数字だけ見ると、Wix自作が圧倒的に安く見えます。しかし、「安い=最適」ではない理由を次のセクションで説明します。
Wixの落とし穴|制作者が正直に伝えたいこと
Wixは素晴らしいサービスですが、企業サイトとして使う場合に知っておくべきデメリットがあります。
「Wixからの引っ越し」がほぼ不可能
これが最大の問題です。Wixで作ったサイトのデザインやコンテンツは、WordPressやNext.jsにそのまま移行できません。将来的に別のツールに乗り換えたい場合、ゼロから作り直しになります。
WordPressの場合は、テーマを変更してもコンテンツ(記事やページの内容)は引き継げます。Next.jsへの移行も、WordPressのデータを活用できます。
表示速度の限界
Wixはサービスの仕組み上、WordPressやNext.jsと比べて表示速度が遅くなる傾向があります。PageSpeed Insights(Googleの表示速度測定ツール)でモバイル50〜70点台になるケースが多く、SEOの観点ではマイナスになりえます。
「お客様のもの」にならないリスク
Wixで作ったサイトは、Wixというプラットフォームの上に存在しています。万が一Wixがサービスを終了したり、料金を大幅に値上げした場合、自社のホームページが人質になるリスクがあります。
WordPressはオープンソース(誰でも無料で使える技術)であり、サーバーを変更してもサイトをそのまま引っ越せます。この「所有権」の違いは、長期的に見て非常に重要です。
よくある質問
Wixで作ったサイトは「素人っぽく」見える?
正直に言うと、テンプレートをそのまま使うだけでは「素人感」が出やすいです。しかし、プロに依頼してWixでデザインを組めば、十分にきれいなサイトが作れます。問題は、プロに依頼する費用をかけるならWordPressの方がコスパが良いケースが多いことです。
WordPressは難しくない?
WordPressの「制作」には専門知識が必要ですが、「更新・運用」は非常に簡単です。ブログを書いたことがある方なら、すぐに使いこなせます。制作はプロに依頼し、日常の更新は自社で行う──これがWordPressの最も効率的な使い方です。
Jimdoやペライチはどう?
JimdoやペライチはWixと同じ「ノーコード型サービス」に分類されます。特徴もWixに近く、手軽さと引き換えに自由度と拡張性が制限されるという点は共通しています。1ページだけのLPならペライチ、数ページのサイトならWixかJimdo、本格的なサイトならWordPressという使い分けが現実的です。
途中でツールを変更できる?
WordPress → Next.jsは技術的に可能ですが、制作費と同程度のコストがかかります。Wix → WordPress/Next.jsはゼロから作り直しです。最初のツール選びが重要な理由はここにあります。
まとめ|ツール選びは「今」だけでなく「3年後」も考える
| あなたの状況 | おすすめツール | 理由 |
|---|---|---|
| 予算10万円以下、まずは持ちたい | Wix | 初期費用を最小限に抑えられる |
| 中小企業、予算30万〜80万円 | WordPress | コスパ・自由度・拡張性のバランスが最良 |
| 表示速度重視、予算100万円以上 | Next.js | パフォーマンスとセキュリティが最高水準 |
| 自分で更新したい、IT知識が少ない | WordPress | 管理画面が直感的で使いやすい |
| 将来ECや会員機能を追加したい | WordPress | プラグインで柔軟に拡張可能 |
ツール選びで最も大切なのは、「今の予算」だけでなく「3年後の自社」を想像することです。
安さだけでWixを選び、1年後に「やっぱりWordPressで作り直したい」となれば、結局は二重のコストがかかります。逆に、必要ないのにNext.jsを選べば、予算を無駄に使うことになります。
迷ったらWordPressを選んでください。WordPressで始めて後悔するケースはほとんどありません。
「うちの場合はどのツールがいい?」──技術選定のご相談だけでも歓迎です。WordPress/Next.js両方の視点から、最適な選択をご提案します。
